新生児集中ケア認定看護師になるには?必要な勉強や時間、費用も解説
新生児集中ケア認定看護師は、重篤な状態にある新生児に、高いレベルの治療や看護を行うための認定看護師資格の一つです。
この記事では、新生児集中ケア認定看護師の役割や資格を取るまでの流れ、仕事内容、資格を取るメリットなどについて解説します。
目次
新生児集中ケア認定看護師とは?
新生児集中ケア認定看護師は、急性期にある早産児や疾患を抱えるハイリスク新生児と、そのご家族の看護ケアを行う認定看護師です。
新生児の急変に伴う蘇生の実施や、退院の支援などを行います。
2023年12月時点の資格保有者は418人です。NICUやGCUを中心に、小児科・産婦人科などに所属する看護師さんが取得しています。
新生児集中ケア認定看護師の役割
認定看護師になると、「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。
日本看護協会は、認定看護師の役割を次のように定義しています。
新生児集中ケア認定看護師に求められる役割はどのような内容なのでしょうか。具体的に解説します。
新生児集中ケア認定看護師の役割①「実践」
「実践」は、重篤な状態にある新生児に対する看護を行う役割です。
高度な医療ケアや状態に応じた環境管理など、全身管理を行います。また、病態が安定してきた新生児の退院に向けたリハビリ支援、ご家族へのケアや退院後のサポートも役割の一つです。
新生児集中ケア認定看護師の役割②「指導」
「指導」は、ほかの看護師に対して新生児蘇生法や、新生児低体温療法などの指導を行うことです。
新生児の看護ケアは特に神経を集中させ、小さな変化にも気をつけなければならず、不安や悩みを抱える看護師も多くいます。そのような看護師の相談窓口や、教育担当になることも重要な役割です。
新生児集中ケア認定看護師の役割③「相談」
「相談」は、小児科の医師や理学療法士、地域の福祉機関などと連携し、より質の高い医療や看護を提供することです。
多職種と連携して新生児の病態を管理し、一日も早い安定や退院のための治療計画をコンサルテーションします。
新生児集中ケア認定看護師になるには?
新生児集中ケア認定看護師になるには、どういったステップを踏めばいいのでしょうか? ここでは、資格取得の流れや通う学校、試験内容などを解説します。
新生児集中ケア認定看護師になるまでの流れ
新生児集中ケア認定看護師は、次の流れで取得します。
新生児集中ケア分野の実務経験については、次の実績や勤務状況であることが望ましいとされています。
- 新生児集中ケア部門での看護実績
- ハイリスク新生児の生後1週間以内における看護ケア、親・家族の看護を5例以上担当
- ハイリスク新生児のケアを行う部門で勤務している
- 新生児の蘇生に関する知識、技術を持っている
新生児集中ケア認定看護師になるための学校や勉強内容
新生児集中ケア認定看護師の授業を開講している学校は、2024年4月時点で「獨協医科大学地域共生協創センター」の1カ所となっています。
新生児集中ケア認定看護師の資格を取得するには、1年以内に800時間程度の教育課程を修了する必要があります。
教育課程は「共通科目」「専門科目」「演習・実習」に分かれていて、ハイリスク新生児の全身管理方法の知識や技術を身に着け、病態やケアについてのアセスメント、新生児の蘇生処置などについて学びます。
詳しくは日本看護協会の認定看護師教育基準カリキュラムを確認しましょう。
新生児集中ケア認定看護師の試験内容と難易度
認定審査の試験内容は、例年以下のように設定されています。
- 試験時間:100分
- 会場:都道府県ごとの所定の会場
- 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)
- 問題数:計40問(150点満点)
- 合格率:日本看護協会からの発表はなし
難易度は易しくはないようです。合格率の公式発表はありませんが、入学試験の準備や800時間の教育課程での学習などがあるため、相当量の学習は必要でしょう。
認定審査では「認定看護師教育基準カリキュラム」に沿った基礎知識を中心に出題されます。カリキュラムをしっかり受講して、試験に備えましょう。
新生児集中ケア認定看護師になるためにかかる時間と費用
新生児集中ケア認定看護師の資格を取る場合、どれくらいの時間や費用がかかるのかを解説します。
新生児集中ケア認定看護師になるまでにかかる時間
新生児集中ケア認定看護師の資格取得までには、2年近くかかります。
表資格取得までのスケジュール例
時期 | できごと |
---|---|
4月 | 入学 |
5月 | 講義開始 |
10月 | 実習開始 |
翌年1月~2月 | 修了試験、修了式 |
10月 | 認定審査 |
12月 | 合格判定通知 |
翌々年2月 | 認定証通知 |
また、教育機関に通っている間の約1年間は、休職や一時的な退職を考える必要がありそうです。
病院によっては、認定看護師取得のための休職の受け入れや、勤務扱いとして対応してくれるところもあります。受験を考える際は、ご自身の病院の制度などについて事前に確認しておきましょう。
新生児集中ケア認定看護師になるまでにかかる費用
認定看護師になるための費用は、130万円程度となります。
表認定看護師の資格取得にかかる費用の例
項目 | 金額 |
---|---|
入学試験の受験料 | 5万円 |
入学金 | 5万円 |
教材費 | 10万円 |
受講料 | 100万円 |
認定審査の受験料 | 5万円 |
認定料 | 5万円 |
さらに、学校が遠方にある方の場合は、引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。
受験や授業料にまとまった金額が必要になるため、全て負担するのが難しい場合もあるでしょう。
その場合は、日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などを活用することも、選択肢の一つです。詳しくは、日本看護協会のホームページを確認しましょう。
また、勤務先の病院で補助制度を設けているケースもあります。自分の勤務先の制度を確認してみてもよいですね。
新生児集中ケア認定看護師の仕事内容
新生児集中ケア認定看護師は、NICUなどでハイリスクな新生児の看護を行うことが中心で、重篤な状態の新生児の対応においても慌てずに業務を行うことが求められます。
NICUをはじめとした小児科に所属する若手・中堅看護師と連携する場面が多く、後輩や部下の指導、マネジメントが大きな役割の一つです。
難易度の高い看護ケアにおいて、高度なスキルと知識を根拠に適切な対応や指導が求められます。
新生児集中ケア認定看護師になるメリットとは
新生児集中ケア認定看護師の資格取得には、次のようなメリットがあります。
スキルアップにつながる
新生児集中ケア認定看護師の学習を通じて、新生児に必要な看護ケアの専門知識や技術を身につけることができ、看護師としてのスキルアップが目指せます。
また資格の勉強中に他院の看護師とのつながりができ、情報交換や知識共有の機会も増え、看護師としての知見を伸ばすこともできるでしょう。
ご家族の安心・信頼につながる
産まれたばかりのお子さんが危機に瀕しているなかで、新生児ケア認定看護師として、「ベテランの看護師さんがいる」ということを示せると、ご家族の安心や信頼につながります。
また、専門的な学習を重ね、ほかの認定看護師との意見交換の機会も増えることで、両親の心の痛みや負担に寄り添い、安心を与えられるような対応を考えられるようになるでしょう。
まとめ
新生児集中ケア認定看護師は、専門的な知識と技術を生かしてハイリスクな新生児の看護ケアを行う資格です。
新生児の看護ケアは特に神経を集中させ、小さな変化にも気をつけなければならないため、常に学びが欠かせません。
NICUやGCUをはじめ、新生児と関わる機会が多い看護師さんは、資格取得を考えてみてもいいかもしれません。
執筆:看護roo!編集部
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