手術看護認定看護師の役割とは?資格取得の方法や仕事内容も解説
手術看護認定看護師は、患者さんが安心安全に手術を受けられるよう必要な看護ケアを考えたり、手術の円滑なサポートを行ったりする認定看護師です。
この記事では、手術看護認定看護師の資格を取るまでの流れや、仕事内容、資格を取るメリットなどについて解説します。
目次
手術看護認定看護師とは?
手術看護認定看護師は、手術に関わる看護のスペシャリストとして日本看護協会に認定された看護師です。
手術を必要とする患者さんの術前、術中、術後に必要な看護ケアを提供する役割があります。
手術看護認定看護師は、2023年12月時点で759人が誕生しています。いわゆる「オペナース」がキャリアアップやスキルアップのために目指す資格となっています。
手術看護認定看護師の役割
認定看護師になると、「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。
日本看護協会は、認定看護師の役割を次のように定義しています。
手術看護認定看護師に求められる役割はどのような内容なのでしょうか。具体的に解説します。
手術看護認定看護師の役割①「実践」
「実践」は、患者さんがの手術前のアセスメントから、術後、合併症のリスクを検討した看護ケアを提供するなど、患者さんのケアを行う役割です。
また手術室の環境整備や感染管理、安全管理、麻酔介助など、円滑な手術進行のサポートも役割の一つです。
手術看護認定看護師の役割②「指導」
「指導」は、ほかの看護師に対して、手術看護記録の付け方や麻酔介助の方法、術前術後のケアの仕方などをレクチャーすることです。
また中には手術・麻酔看護に関する勉強会や講習を企画・運営することもあります。
手術看護認定看護師の役割③「相談」
「相談」では、麻酔科医や薬剤師、理学療法士など多職種と連携し、安全で円滑に手術を進められるよう、手術環境の調整を行います。
また手術中の患者さんの状態を病棟看護師や多職種と共有し、術後の回復に必要な看護ケアを考えることも大切です。
手術看護認定看護師になるには?
ここでは、資格取得までの流れや通う学校、難易度などを解説します。手術看護認定看護師になるには、どういったステップを踏めばいいのでしょうか?
手術看護認定看護師になるまでの流れ
手術看護認定看護師になる流れは以下の通りです。
手術看護分野の実務経験については、次の実績や勤務状況であることが望ましいとされています。
- 3年以上、手術看護分野での看護実績を有すること
- 手術看護において器械出し看護師や外回り看護師としての実績を5例以上有すること
- 手術室看護師として勤務している
手術看護認定看護師になるための学校や勉強内容
認定看護師を取得するには、指定された教育機関でカリキュラムに沿って学習する必要があります。手術看護分野の対象学校は次の2カ所(2024年4月時点)です。
- 昭和大学認定看護師教育センター
- 兵庫医科大学臨床教育統括センター認定看護師教育課程
手術看護認定看護師の資格を取得するには、1年以内に800時間程度の教育課程を修了する必要があります。
教育課程は「共通科目」「専門科目」「演習・実習」に分かれています。
手術を受ける患者さんを適切にアセスメントし、必要な看護スキルを提供するスキルや、手術で起こり得るリスクを判断し、対応するスキルなどを学びます。
詳しくは日本看護協会の認定看護師教育基準カリキュラムを確認しましょう。
手術看護認定看護師の試験内容と難易度
認定審査の試験内容は、例年以下のように設定されています。
- 試験時間:100分
- 会場:都道府県ごとの所定の会場
- 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)
- 問題数:計40問(150点満点)
- 合格率:日本看護協会からの発表はなし
試験の難易度は、低くありません。合格率の公式発表はありませんが、入学試験の準備や800時間の教育課程での学習などがあるため、相当量の学習は必要でしょう。
認定審査では「認定看護師教育基準カリキュラム」に沿った基礎知識を中心に出題されます。カリキュラムをしっかり受講して、試験に備えましょう。
手術看護認定看護師になるためにかかる時間と費用
手術看護認定看護師の資格を取る場合、どれくらいの時間や費用がかかるのかを解説します。
手術看護認定看護師になるまでにかかる時間
手術看護認定看護師の資格取得までには、2年近くかかります。
表資格取得までのスケジュール例
時期 | できごと |
---|---|
4月 | 入学 |
5月 | 講義開始 |
11月 | 実習開始 |
翌年1月~3月 | 修了試験、修了式 |
10月 | 認定審査 |
12月 | 合格判定通知 |
翌々年2月 | 認定証通知 |
また、教育機関に通っている間の約1年間は、休職や一時的な退職を考える必要がありそうです。
病院によっては、認定看護師取得のための休職の受け入れや、勤務扱いとして対応してくれるところもあります。受験を考える際は、ご自身の病院の制度などについて事前に確認しておきましょう。
手術看護認定看護師になるまでにかかる費用
認定看護師になるための費用は、120万円程度となります。
表認定看護師の資格取得にかかる費用の例
項目 | 金額 |
---|---|
入学試験の受験料 | 5万円 |
入学金 | 5万円 |
受講料 | 100万円 |
認定審査の受験料 | 5万円 |
認定料 | 5万円 |
さらに、これらに加えて教材費、また、学校が遠方にある方の場合は、引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。
費用の工面は、日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などを活用することも、選択肢の一つです。詳しくは、日本看護協会のホームページを確認しましょう。
また、勤務先の病院で補助制度を設けているケースもあります。自分の勤務先の制度を確認してみてもよいですね。
手術看護認定看護師の仕事内容
手術看護認定看護師の仕事は、通常の手術看護師としての仕事に加え、新人看護師や後輩看護師への教育が大きな役割として期待されています。
患者さんのアセスメントの仕方やケアの方法をレクチャーするほか、看護師が手術室で働きやすい環境を整備することも、マネジメントを担う認定看護師の仕事です。
手術中はチームワークが重要になるので、認定看護師の勉強で培ったコンサルテーション力を生かしてチームを引っ張る存在になることが求められます。
手術看護認定看護師になるメリットとは
手術看護認定看護師の資格取得には、次のようなメリットがあります。
1スキルアップにつながる
手術看護認定看護師の学習を通じて高度な知識とスキルを身に付き、スキルアップにつながります。
患者さんに必要なケアが何であるかを的確にアセスメントする能力や、手術への理解度が高まり、麻酔科医や薬剤師、ほかの看護師との意見交換なども積極的にできるようになるでしょう。
2スタッフからの信頼につながる
手術看護認定看護師を取得して、手術室での役割や求められる働きがレベルアップすれば、任せてもらえる仕事が広がり、信頼されていることを実感できます。
また認定看護師としてさまざまなスタッフから相談を受ける機会が増え、看護師としての能力に信頼を寄せてもらえる場面が増えるでしょう。
まとめ
手術看護認定看護師は、手術に関する看護ケアのスペシャリストとして患者さんやそのご家族へ高度なケアを提供します。
手術に関わる看護師として働いている人、または手術室看護師を目指している人で、「高度な医療知識を身に付けたい」「患者さんの手術の安全な進行に役立ちたい」と考える人におすすめの資格です。
執筆:看護roo!編集部
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