最終更新日 2019/04/08

甲状腺がん

甲状腺がんとは・・・

甲状腺がん(こうじょうせんがん、thyroid carcinoma)とは、甲状腺組織中にできるがんである。羅患率は女性の方が高いとされている。

 

甲状腺は、のどぼとけのすぐ下の気管前面に位置し、甲状腺ホルモンとカルシトニン(代謝や血中カルシウム濃度の調整を担う)を分泌する内分泌腺である。

 

種類

甲状腺がんは、がん組織の状態によりいくつか種類がわかれる。

乳頭がん
・濾胞がん
・髄様がん
・未分化がん
悪性リンパ腫  など

 

最も頻度が高いのは乳頭がんであり、甲状腺がんのうち約90%を占める。リンパ節転移を起こしやすいが、進行が遅いため、ほとんどの場合予後は良好である。発生頻度は、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫、その他の順で続く。

 

症状

初期症状はほとんど見られない。しかし、病状が亢進すると、頸部にしこりが認められるようになる。また、呼吸困難や嗄声、咳嗽などの症状が見られることもある。

 

検査・診断

触診や問診によって甲状腺がんが疑われる場合は、超音波検査穿刺吸引細胞診などの診断が行われる。

 

治療

甲状腺がんの治療は手術(外科治療)が基本である。手術後はおよそ90%の確率で残存甲状腺組織が存在している。そのため、甲状腺がん再発のリスクなどが高いと判断される場合は、放射性ヨード内用療法による術後治療が行われることもある。

 

なお、未分化がんについては進行が早く、予後が極めて不良であるため、診断当初から緩和医療の介入が検討されることが多い。

 

引用参考文献
1)“甲状腺がん(こうじょうせんがん)”.国立がん研究センター がん情報サービス.
2)甲状腺腫瘍診療ガイドライン作成委員会.“コラム2 甲状腺癌の組織型の頻度について.甲状腺腫瘍診療ガイドライン”.日本癌治療学会.
3)甲状腺腫瘍診療ガイドライン作成委員会.“CQ40 アブレーションの適応およびアブレーションの役割は?.甲状腺腫瘍診療ガイドライン”.日本癌治療学会.

執筆: 小川顕太

亀田総合病院 集中治療科フェロー

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