プロテアーゼとは・・・
プロテアーゼ(ぷろてあーぜ、protease)とは、タンパク質中のペプチド結合を切断するタンパク分解酵素のことである。
プロテアーゼには切断する配列をあまり選ばない基質特異性の低いものや、ペプチドの特定の部位だけを高度に選択して特異的に切断する基質特異性が高いものがある。
プロテアーゼはいずれも特有の作用最適pHを有している。一般には熱に弱く、加熱により酵素活性を失う。
即時型アレルギーであるI型アレルギーにおいて、肥満細胞表面に結合したIgE(免疫グロブリン)にアレルゲンが結合すると、細胞内のシグナル伝達が生じ、肥満細胞や好塩基球の顆粒内に含まれるヒスタミンなどとともにプロテアーゼも放出される。放出されたプロテアーゼは、基底膜を分解して血管透過性を亢進させ、好中球の遊走に有利に作用する。
また、ダニ抗原に含まれるダニプロテアーゼやパパイヤ由来のプロテアーゼであるパパインは「システインプロテアーゼ」と呼ばれ、これ自体がアレルゲンとして働き、アレルギーを強く誘導し、喘息や鼻炎の原因となる。その機序は、T細胞やIgE抗体を必要としない自然リンパ球(自然免疫)による反応として注目されている。
プロテアーゼを豊富に含む食物として、パイナップルやパパイヤ、キウイフルーツなどがある。パイナップルを食べた際に、舌の痺れを感じることがあるが、これはパイナップル中に含まれるプロテアーゼの一種、ブロメラインが舌の粘膜表面のタンパクを分解し、剥き出しになった舌が過敏になるためである。この作用を利用して、肉を柔らかくするために料理で果物が用いられることもある。褥瘡の壊死を融解する軟膏にも用いられている。キノコ類にもプロテアーゼが多く含まれており、複数のキノコの中で最もマイタケが肉を柔らかくする効果が高かったという報告もある。