最終更新日 2018/03/06

統合失調症

統合失調症とは・・・

統合失調症(とうごうしっちょうしょう、schizophrenia)とは、思考や感情を統合する能力が低下することで生じる精神疾患であり慢性的な経過をたどる。

 

統合する能力の低下は多くの場合、うつ病や引きこもり、適応障害などに見られるものと区別しにくいことがあり、確定診断は幻覚、妄想などの症状によって下される。以前は「精神分裂病」という病名であったが、2002年から「統合失調症」に名称が変更された。

 

厚生労働省による平成26年患者調査では、統合失調症の患者数は現在約77万人とされている。生涯有病率は1%で、100人のうち1人は一生のうちに発症すると言われている。男性では15~25歳、女性では25~35歳が多く、男女比は1.4:1.0である。

 

統合失調症の原因はわかっていないが、ドーパミン仮説やセロトニン仮説、その他なんらかの遺伝的脆弱性とストレスの環境要因が重なって発症すると言われている。

 

症状・経過

統合失調症の症状と経過は「前兆期(抑うつや不安障害、不眠・食欲不振・頭痛など自律神経を中心とする身体の症状)」→「急性期(陽性症状)」→「休息期(治療後、陰性症状が目立つこともある)」→「回復期」を経過し、「再燃(急性期)」と「寛解」を繰り返すことが多い。症状が現れてから薬物治療を開始するまでの期間が短いと予後が良いことが指摘されていますので、早期発見・早期治療が大切である。

 

治療

治療の基本は抗精神病薬と、心理社会的なリハビリテーション、ならびに社会復帰のための福祉、地域での支援である。

 

治療薬は単剤投与が基本であり、従来は内のドーパミン神経系に作用する薬物が用いられてきたが、最近ではセロトニン神経系にも作用する非定型抗精神病薬が導入され、治療効果を高めている。抗精神病薬の一般的な副作用として、黒質線条体系のドーパミン拮抗作用によるパーキンソン症候群や錐体外路症状、アカシジア、ムスカリン拮抗作用による便秘、口渇、眼のかすみ、抗ヒスタミン作用などによる眠気、体重増加など、抗アドレナリンα1拮抗作用による低血圧が生じる。また、非定型抗精神病薬であるオランザピン、クエチアピンは、まれに高血糖糖尿病・体重増加を誘発することがある。

執筆: 神谷侑画

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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