ロタウイルスとは・・・
ロタウイルス(ろたういるす、Rotavirus)とは、乳幼児の主要な胃腸炎の原因となる二本鎖RNAウイルスである。感染力が強いが、ほとんどの小児は2~3歳までに抗体を獲得する。そのため、6カ月~2歳までの乳児で重症化しやすく、発展途上国では死亡例も多い。厚生労働省の統計によると日本の患者数は年間80万人程度であり、15~43人に1人は入院、2~18人/年の死亡が報告されている1)。
症状
感染経路は糞口感染であり、感染後1~3日で食欲低下、腹痛、水様便が出現する。症状は1~4日持続し、ウイルスは6~10日程度で便から排泄される。他のウイルス性腸炎と比較して嘔吐の頻度が多く、脱水からの代謝性アシドーシスや電解質異常、多臓器不全を引き起こし、場合によっては死に至る。
診断
臨床症状からロタウイルスを他のウイルス性腸炎と判別するのは困難であり、治療方法についても対処療法のみのため検査をする必要はないが、迅速診断検査(イムノクロマト法)やPCR法を用いて診断をすることも可能である。
治療
特異的な治療法はなく、下痢、脱水、嘔吐への対症療法(点滴、経口補液、整腸剤の投与など)を行う。止痢薬は症状を長引かせる可能性があるため使用は勧められていない。
予防
予防方法としては、手洗いを徹底することである。また、日本では、ロタウイルスワクチンの任意接種が可能であり、乳児期にワクチン接種をすることも予防方法の一つである。
引用参考文献
1)“ロタウイルスに関するQ&A”.厚生労働省.(2018年11月閲覧)