最終更新日 2018/05/11

手足口病

手足口病とは・・・

手足口病(てあしくちびょう)は、口腔内や手足などに水疱性の発疹が出現するウイルスによって起こる感染症である。乳幼児を中心に、主に夏に流行する。コクサッキーウイルスA6、A16やエンテロウイルス71型が主で、この他、コクサッキーウイルスA10など10種のウイルスが原因となる。

 

感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染がある。感染力は強く保育施設や幼稚園などで流行することがある。潜伏期間は2~5日間。発熱は約1/3にみられるが、微熱がほとんどであり、高熱が続くことはあまりない。手掌足底のほか膝関節や臀部などに2~3mm程度の小水疱が散在する。水疱は、掻痒感はないが、軽度の圧痛を伴うことがある。4~7日で水疱は消失する。口腔粘膜疹は、頬粘膜や舌に現れ、紅斑や水疱、アフタ様びらんを生じる。口腔粘膜疹は数個から数十個発生し、有痛性であるが、数日で消失する。

 

まれではあるが、髄膜炎炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、急性弛緩性麻痺などの症状が出ることもある。とくにエンテロウイルス71型が原因の場合、無菌性髄膜炎をはじめとした中枢神経系の合併症をおこすことが多い。

 

コクサッキーA6ウイルス感染による手足口病の場合、水疱消失後、1カ月以内に一時的に手足のの脱落を認める。爪の脱落は自然に治癒することがほとんどである。

 

治療としては水分補給に注意する以外は特別な治療は必要としない。疼痛が強い場合や、発熱、倦怠感がみられる場合は解熱鎮痛薬の投与を行い、経口摂取困難な場合は点滴が必要となることもある。

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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