キュンメル点とは・・・
キュンメル点(きゅんめるてん)とは急性虫垂炎を示唆する圧痛点の一つである。圧痛点は診断時に圧迫すると痛みを発する部位のことである。
急性虫垂炎は虫垂管腔の閉塞や糞石などに腸内細菌の二次感染が加わった炎症性の疾患である。あらゆる年齢層に発生し得るが、10代後半から20代に好発し、腹痛の訴えがあった場合は必ず念頭に置く必要がある。
虫垂は右下腹部の盲腸の後面に位置し、先端は左上腹部を向いた状態にあるとされるが、必ずしもこの位置にあるとは限らない。盲腸がどの程度回旋しているかで虫垂の位置は変化し、右側腹部や骨盤などに位置する可能性がある。このため、右下腹部のみならず臍部、下腹部、右側腹部や初期には心窩部痛などを呈することがあり注意が必要である。
急性虫垂炎にはマックバーニー点、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。
キュンメル圧痛点は臍より右下方1~2cmを指し、大網が虫垂の炎症のために引き寄せられた部位に相当する圧痛点のことを指す。しかし、キュンメル圧痛点を認めたとしても必ずしも虫垂炎とはかぎらない。腸閉塞など他の消化管疾患、尿管結石などの泌尿器科疾患、女性であれば子宮外妊娠などの婦人科疾患の可能性を念頭に置く必要がある。このため、身体診察のみではなく採血、腹部超音波検査、CT検査などの検査を検討し、鑑別診断を含めた総合的な診療をしていく必要がある。