最終更新日 2020/01/23

脂肪肝

脂肪肝とは・・・

脂肪肝(しぼうかん、hepatic steatosis)とは、肝細胞中に中性脂肪(トリグリセリド)が蓄積した状態で、肝細胞の30%以上に脂肪空胞を認める状態をいう。アルコール性と非アルコール性に分けられる。

 

脂肪肝の中で飲酒歴がなく、他の慢性肝疾患を除外したものを非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と呼ぶ。さらにその中で組織学的に壊死、炎症、線維化などを認めるものは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とされ、脂肪沈着のみの単純性脂肪肝と区別される。NASHは単純性脂肪肝と違い、線維化が進行することで肝硬変や肝臓癌に至る可能性もある。

 

分類

・脂肪肝=アルコール性脂肪肝+非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)
・非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)=非アルコール性脂肪肝炎(NASH)+単純性脂肪肝

 

脂肪肝の原因としては、アルコール多飲、肥満、糖尿病、薬剤などが挙げられる。

 

症状

脂肪肝自体に症状はない(無症状)。

 

検査・診断

血液検査では、肝逸脱酵素の上昇が認められる。腹部超音波検査や腹部CTなどの画像評価に加えて、肝生検が必要な場合もある。

 

治療

アルコール性脂肪肝に関しては、禁酒により改善するが飲酒継続で肝炎や肝線維症、肝硬変へと進行することが知られている。

 

単純性脂肪肝は肥満に伴うものであるため、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善が治療の中心となる。NASHに移行する例もある。NASHに関してはNAFLDの重症型という位置付けであり、肝硬変や肝細胞がんに進行しうる。前述の生活習慣の改善に加えて、合併する糖尿病、脂質異常症高血圧などの治療も重要になる。

 

予防

脂肪肝の予防としては、食生活の改善や、断酒などが挙げられる。

執筆: 大久保祐希

兵庫県立尼崎総合医療センター ER総合診療科フェロー

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