最終更新日 2019/10/25

気管支喘息

気管支喘息とは・・・

気管支喘息(きかんしぜんそく、asthma)とは、慢性気道炎症の状態となっており、発作性呼吸困難、喘鳴を来す疾患である。気管支喘息には、アトピー型と非アトピー型に分けられる。

 

小児と成人における気管支喘息は病態や対応が異なるが、ここでは成人における気管支喘息について述べる。

 

喘息予防・管理ガイドライン2018(JGL2018)では、成人における気管支喘息を「気道の慢性炎症を本態とし,変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)やなどの臨床症状で特徴付けられる疾患」と定義している1)。

 

気道炎症には、
好酸球好中球リンパ球、マスト細胞などの炎症細胞
・気道上皮細胞、線維芽細胞、気道平滑筋細胞などの気道構成細胞
・種々の液性因子
が関与している。

 

自然に、あるいは治療により可逆性を示す気道狭窄・咳は、気道炎症や気道過敏性亢進による。
持続する気道炎症は、気道障害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング)を惹起して非可逆性の気道狭窄をもたらす。

 

症状

上述の通り、気道狭窄を起こして発作的な喘鳴・咳嗽・呼吸困難をもたらす。重症例ではチアノーゼ呼吸不全を呈して致死的となる場合もある。

 

聴診上は呼気にWheezeを聴取することが多い。

 

気管支喘息は、誘因(発作を引き起こす原因)が無くても発作は起こしうるが、気道感染や煙の吸入などによる物理的刺激が誘因となることがある。また、早朝に発作が起きやすい。

 

検査・診断

喘息の診断は気道狭窄の症状が変動しているという点が重要であり、聴診でWheezeが聴取されただけでは診断できない。「反復する」というエピソード、治療や自然経過で気道狭窄の改善(症状や肺機能検査)を認める、気道過敏性測定、他の疾患の除外などにより総合的に診断される。

 

治療

気管支喘息の治療は、継続的に使用してコントロールを目指す長期治療薬と、喘息発作時の発作治療薬に分けられる。

 

長期治療薬

長期治療薬は抗炎症作用を持つ吸入ステロイドが第一選択薬であり、長期間作用性の気管支拡張作用薬として長期間作用性β刺激薬(LABA)、テオフィリン徐放製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)、長期間作用型抗コリン薬(LAMA)等も使用される。コントロール不良の場合は経口ステロイド薬も用いられる場合がある。

 

発作治療薬

発作治療薬には、即効性のある短期間作用性β刺激薬(SABA)、経口ステロイド薬、テオフィリン、吸入抗コリン薬などがある。


引用参考文献
1)「喘息予防・管理ガイドライン2018」作成委員.一般社団法人日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会監修.喘息予防・管理ガイドライン 2018.協和企画,2018,2.(ISBN:978-4-87794-193-2)

 

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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