清拭を行うのはなぜ?
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は清拭に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
清拭を行うのはなぜ?
清拭は、ベッドに臥床したまま患者の身体を拭いて清潔にする方法です。入浴に比べてエネルギーの消耗が少なく、呼吸・循環に及ぼす影響が少なくすみます。清拭には、全身清拭と部分清拭があり、患者の状態や希望によってどちらにするか決めます。
清拭を行う第1の目的は、皮膚表面の垢や皮脂汚れを除去することです。皮膚に当たる面を40~42℃にしたウォッシュクロスで拭くことで末梢の血管が刺激され、血液の循環を促す効果もあります。また、筋肉を刺激することで、拘縮(こうしゅく)の予防にもつながります。
このような治療上の効果だけでなく、清拭を行うことで、入浴に近い爽快感を得ることができます。清拭時には、皮膚の状態(湿疹、発赤、乾燥、色つやなど)を観察し、褥瘡のできやすい部分は特に注意して観察を行います。
患者にとっては、清拭が大きな負担になる場合もありますので、安楽な体位を保持し、援助の間は、顔色、表情、発汗、呼吸状態などに注意します。
前もって必要な物品をそろえ、疲労感を与えないように手際よく進めることが大切です。
看護師は、ボディメカニクスに基づいた正しい姿勢で清拭を行います。ベッドが低いと患者側にかがみこまなければならないので、腰痛の原因になります。ベッドを上げて両足を肩幅程度に開き、自然な姿勢で作業できるようにしましょう。患者の位置が看護師から遠いと、かがみこんだ姿勢を取らざるを得ません。あらかじめ、患者を看護師に近づけるように、ベッドの端に寄せることも必要です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版