心拍数と脈拍数は必ず同じなの?
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看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
[前回]
今回は「心拍数と脈拍数」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
心拍数と脈拍数は必ず同じなの?
正常では、心拍数と脈拍数は対応しています(図1)。心臓が収縮して血液を送り出すときの拍動と、動脈に圧がかかる時期はほとんど同時で、1分間の回数も同じです。
図1心電図と脈拍の関係
しかし、不整脈があると両者に差が生じます。
心臓が収縮して脈が生まれ、拡張期に心室に充満した血液が、再び心臓の収縮で駆出されて脈が生じます。この繰り返しのなかで、拡張期の時間が短いと心臓に十分な量の血液が満たされず、1回の心拍出量が少なくなります。すると、脈は小さくなり、動脈で感知できなくなります。こうした場合、心拍数と脈拍数に差が出てきます。
心拍数と脈拍数に差が出るのは、心室期外収縮、頻脈、心房細動(しんぼうさいどう)などの不整脈が現れた場合です。
心室期外収縮は、本来の部位(洞房結節)以外の心室から心臓を収縮させる刺激が出ることで発生します。脈拍測定をしていると脈が飛ぶ、脈が抜けるというように感じます。次の脈が大きくなるため、患者はドキンとしたというように表現することが多いです。
1分間に150回以上という高度の頻脈のときに、心拍数と脈拍数に差が出るのは、全体的に脈拍が小さくなって計測しにくくなるとともに、脈が交互に大きくなったり小さくなったりするためです。そのため、高度の頻脈では心拍数の一部しか脈拍を感知できなくなります。
心房細動を起こしている場合は、脈の大きさがバラバラになるため、心拍数と脈拍数の間に差が生じます。
※編集部注※
当記事は、2016年7月15日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版