脳波検査(EEG)|脳・神経系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、脳波検査(EEG)について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
- 脳波検査(EEG)とはどんな検査か
- 脳波検査(EEG)の目的
- 脳波検査(EEG)の実際
- 脳波検査(EEG)前後の看護の手順
- 脳波検査(EEG)において注意すべきこと
- 脳波検査(EEG)現場での患者との問答例
脳波検査(EEG)とはどんな検査か
脳は、その活動に伴って非常に微弱な電流を流し続けており、その細かな電位差は頭部の表皮上でたえず変化している。
頭部に電極を付け、その電流を導き出して増幅器にかけ、波形として記録するのが脳波検査である。
脳波は年齢と意識レベルによって変化する。したがって、成人の脳波と小児の脳波では異なったり、意識レベルが低くなると遅い脳波になる。睡眠は生理的な意識レベルの低下であり、脳波は睡眠の深さに応じて変化する。
脳波検査(EEG)の目的
脳波検査(EEG)の実際
- ①患者を検査台に仰臥位で臥床させる。
- ②電極を当てる部位をアルコール綿で拭く。
- ③電極糊を擦り込み、その上に電極を置き、支持器で押さえる。
- ④検査には30分〜1時間を要する。
- ⑤普通は安静時、覚醒時、閉眼時の記録をとる。てんかんの検査では脳に刺激を与えて異常脳波を誘発する負荷脳波記録も行われる。
- ⑥外部から与えられる光や薬に対する脳波の変化を調べることもある。光刺激の場合は、3分間深呼吸をくりかえすうちに与えられる。
- ⑦終了後、電極を外し、アルコール綿で電極糊を拭き取る。
- ⑧外部からの電気的交流を遮断したシールドルームと呼ばれる特別な部屋で行うが、最近ではポータブル型脳波計が開発され、病棟のベッドサイドでも行うことができるようになっている。
脳波検査(EEG)前後の看護の手順
1)患者への説明
- 頭に電極をつけて、脳の機能の状態を見る検査である。
- 検査時間が長時間なため、検査前に排尿を済ませておく。
- 何の苦痛も伴わず、危険性もない検査であることをよく説明し、精神的緊張や不安を取り除き、検査に協力できるようにする。
2)検査前の処置
- 特になし。
3)準備するもの
- ①脳波計
- ②電極
- ③アルコール綿
- ④電極糊
- ⑤滅菌ガーゼ
- ⑥支持器
4)検査後の管理
- クリームで電極を固定することで頭髪が汚れるため、洗髪を行う。
脳波検査(EEG)において注意すべきこと
- 全身性痙攣を生じやすい患者は、過呼吸や光刺激の際に痙攣が起こることもあるため、開口器、ガーゼを巻いた舌圧子などを用意して応急処置を行えるようにしておく。
- 検査中は刺激を与えないように、人の出入り、または談話を避ける。
脳波検査(EEG)現場での患者との問答例
これから脳波検査に行きます。
どんな検査ですか。
頭に電極をつけて、脳の働きを知る検査です。
痛くはないですか。
数本の電極をクリーム状の糊で装着して、ベッドで横になってもらうだけです。痛みはなく装着を始めてから検査終了まで通常は約30分ですが、方法によっては2時間程度かかります。
終わったら髪の毛についた糊を洗い流します。
分かりました。
略語
- EEG:electroencephalography(脳波、脳波検査)
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版