「ナースコールに対応してくれない師長」に困ったときの対処法!|師長とのイザコザ解決策【2】

こんにちは。看護の悩み請負人のサトです。

私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。

 

この連載では、スタッフが悩みやすい「師長とのイザコザ」について、私が提示できる解決策をお伝えします。

さて、今日のお悩みは?

 

師長とのイザコザ解決策【2】

「ナースコールに対応してくれない師長」に困ったときの対処法!

 

◆ナースのお悩み

みんなが業務に追われて余裕がないのに、師長が一切ナースコールに出てくれません!

 

私の勤務する病棟はナースコールが多いのです。

「物を取って」とか「背中をかいて」という内容から、点滴の終了・症状の悪化まで…。

とにかく、患者さんが看護師を呼ぶ回数が多いです。

 

でも師長は、ナースコールがいくら鳴っていても知らん顔。

ずっと書き物をしたり、パソコンに向かっています。

ナースステーションに1人のときもですよ!

 

みんな忙しいのだから、対応してくれたっていいのに…。

こんな師長には、なんて言ったらいいんですか!?

 

 

 

【こう言ってみよう】ナースコールに対応してくれない師長への伝え方

◆こんな師長にモノ申す!◆

「ナースコールに対応したくてもできないのがつらいです! 多すぎるナースコールに対応するにはどうしたらいいのですか?」

 

「ナースコールに対応をしてくれない師長」には、このようにモノ申してみましょう。

何かを要求するのではなく、自分の気持ちを素直に伝え、相談することがポイントです。

 

あなたの素直な気持ちはなんでしょうか。

あなた自身がつらく、怒りを感じている原因は、師長が手伝ってくれないことではなく、「患者さんを待たせていること」ではないですか?

 

そこで、みんなのリーダーである師長に「自分がなぜつらく、怒りを感じているのか」を伝え、「改善策」を相談してみることが解決の第一歩になります。

 

では、この方法が有効なワケを説明していきますね。

 

 

【理由】ナースコールに対応しない理由には、3つのパターンがある

みんなが慌しい中、頻回のナースコールに対応してくれない師長を見ると、疲労感が増しますよね。

それでも、ぐっとこらえて…。

 

つらい状況を改善するために、まずは「師長がナースコールに対応しない理由」について考えてみましょう。

 

以下の3つのパターンが考えられます。

 

【パターン1】

「ナースコールが多い状況」に、スタッフが課題を感じ、解決策を相談してくるのを待っている。

師長の気持ち:「“コールが頻回な状況自体が問題”、と気づいてほしいわ。私だって対応したいけど、ここはグッとこらえて、スタッフが課題意識をもてるように導かなくては!」

 

【パターン2】

ナースコールは、原則として受け持ち看護師が対応する必要があると思っている。

師長の気持ち:「呼び出しをする患者さんは、自分の担当看護師に来てほしいのよ。受け持ちの患者さんに対して、責任感をもってほしいわ。もちろん緊急の時だってあるけど、それくらいは名前を見れば予測がつきます!」

 

【パターン3】

忙しくて対応できない。

師長の気持ち:「忙しくてナースコールになんて対応できないわ!!作成しなければいけない書類が山のようにあるの!」

 

おそらくお悩み主さんは、師長に対して、

「みんなが忙しいのに、自分のことしか考えてない!」とか、

「やる気がない感じがしてイヤ!」とか、

「患者さんが困ってるのに…!」という気持ちになっていると思います。

 

慌しい中、頑張ってコール対応していれば、その感情を持つのは当たり前です。

でも上記のように、師長も言い分や考えをもっているのです。

 

3つのパターンを詳しく解説していきますね。

 

 

【背景】3パターンそれぞれの師長の考え

【パターン1】

「ナースコールが多い状況」にスタッフが課題を感じ、解決策を相談してくるのを待っている

この場合の師長の意図は、看護師の主体性を育てることです。

 

「スタッフの能力を信じ」「相談されるまで待つ」という考えのもと、自ら課題意識をもってアクションを起こしてもらうために、あえて何もしていない(ナースコールをとらない)のです。

 

ナースコールは本来、患者さんの命綱です。

緊急の時に機能しなければ意味がありません。

ご主人様がメイドを呼ぶときにベルを鳴らすこととは、意味が違います。

 

でも、そういう使い方を患者さんがしてしまっているのであれば、スタッフに原因があるかもしれません。

「ナースコールが頻回に鳴る状況」自体が問題であると、自ら気づくのを待っているのかもしれません。

 

つまり、「何が問題であるかに自ら気づき、主体的に動く力」を育てようとしているのです。

 

さらに言えば、「主体的に動く」ことは、スタッフ自身のストレス軽減につながります。

お悩み主さんが感じているイライラの1つの要因として、「患者さんに呼ばれ続けている=振り回されている」こともあるのではないでしょうか。

 

他者に振り回されればストレスが増してイライラするし、誰かにどうにかしてほしい気持ちになります。

そこで、師長が何もしてくれないことで、余計にストレスが増大しているのかもしれません。

 

師長は、このような心の動きも理解したうえで、根本的な解決ができるよう、あえてナースコールに出ていないのかもしれません。

 

【パターン2】

ナースコールは、原則として受け持ち看護師が対応する必要があると思っている

この場合、師長の意図は、患者さんへの責任感を育てることです

「担当する患者さんに責任をもつ」という考えのもと、スタッフに「患者の状況を予測して対応する術を身につけてほしい」と思っています。

 

あなたが受け持つ患者さんが、どういう時にナースコールを鳴らしてくるか、予測できていますか?

患者さんに用件を聞かなくても、何をしてほしいと思っているのか予測ができれば、いつコールされるのかもわかります。

 

さらには、コールされないように、先回りして対処しておくこともできるのです。

 

このように、「受け持ち患者さんが困っていれば一番に駆けつけ、困る機会が減るように常に予測を立てて対応しよう」という責任感を育てようとしています。

 

 

【パターン3】

忙しくて対応できない

この場合は、残念ながらリーダーとしての意図はなく、師長自身が業務に振り回されています。

スタッフへの配慮が足りないという意味では、師長として未熟なのかもしれません。

 

とはいえ、パターン1~3のどの背景であっても、ナースコールに振り回される状況が続けば、スタッフの心身の疲労は溜まるばかりですよね。

 

では、どうやって解決すればいいのでしょうか?

 

 

【解決策】「ナースコールの多さ」について師長に相談する

1.師長に相談してみよう!

パターン1、2のように、師長は「スタッフが困っている」と気づいていても、スタッフが自分からアクションを起こすまでは、黙っていたり、あえて何もしない(ナースコールをとらない)こともあります。

相手(スタッフ)が大人だと思えばこそ、助け方を熟慮するものです。

 

そこで、師長がアクションを起こすのを待つのではなく、自分から相談することが解決の糸口になります。

 

2.師長の仕事を知ろう!

師長は、スタッフの勤務表を作ることだけが仕事ではありません。

デスクワークをしているのを見ると、「どうせ勤務表を作っているんでしょ!」と思うかもしれませんが、組織運営に必要な計算や、書類作成の業務もあります。

 

最近では、日本看護協会が推進する「労働と看護の質データベース(DiNQL)事業」や「診療報酬に必要な労働条件の算出(看護師の実働時間や夜勤時間数)」など、複雑な作業に苦労している場合もあります。

 

また実は、「勤務表作り」ひとつとっても、多くの配慮がなされています。

師長はわざわざスタッフに言いませんが、以下のような多くの要素を鑑みながら、勤務表を作っているのです。

・スタッフが最低限の疲労感で勤務するための組み合わせ

・長期スパンでの教育計画

・看護の質を低下させずに休みの希望を叶えること

・研修に参加させること

 

このように、スタッフのキャリアを育みながら、元気に働いてもらうためにどうしたらよいかを熟慮しなければなりません。

 

スタッフから見て、「この勤務表はないよ!」と思ったとしても、師長の頭の中には、多くの配慮があるかもしれないのです。

 

「師長は、スタッフが元気に働くために、日々のデスクワークを頑張ってくれてるんだなぁ」と理解したうえで、「ナースコールの多さ」の改善策を相談することが、解決の第一歩です。

 

 

まとめ

ナースコールに対応しない師長が、コール音を聞きながら、「この鳴り続けるコールが、私のスタッフ教育である…」と感じていてほしいと切に願います。

 

このように配慮のある師長であっても、もしくは単純にデスクワークに追われている未熟な師長だったとしても、「ナースコールに対応したくてもできないのがつらいです! 多すぎるナースコールに対応するにはどうしたらいいのですか?」と相談してみることは、有効な解決策です。

 

なぜなら、配慮のある師長であれば、スタッフがアクションを起こすのを待っていたのでしょうし、未熟な師長であれば、「スタッフが困っている」ことに気づくからです。

 

そのうえで、あなたの受け持ち患者さんについては、コール回数が少なくなるよう事前に対応を考えることも、楽しく働くための助けになると思います。

 

いずれにせよ、「主体的に動いてみる」ことから始めてみてください!

 

(文)

看護の悩み請負人 サト

 

(イラスト)

香川尚子(ホームページ)

 

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