「新人を叱ってくれない師長」に困ったときの対処法!|師長とのイザコザ解決策【3】

こんにちは。看護の悩み請負人のサトです。

私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。

 

この連載では、スタッフが悩みやすい「師長とのイザコザ」について、私が提示できる解決策をお伝えします。

さて、今日のお悩みは?

 

師長とのイザコザ解決策【3】

「新人を叱ってくれない師長」に困ったときの対処法!

 

◆ナースのお悩み

今年の新人看護師のフォローがつらい…。だって、ケアレスミスばっかりなんです。

 

この前なんて、配薬間違えの一歩手前で私が見つけたんです。

ヒヤっとしました。飲む前でよかったですよ。

 

でも師長は、新人の注意力散漫さには何も言わないで、私に「なんでナースステーションで一緒に確認してあげなかったの?しっかり指導しなさい!」って言います。

私の前に新人の事を叱ってほしい!

 

いくら新人に辞めてほしくないからって、これはないですよね…。

新人は辞めないかもしれないけど、私が辞めたい気持ちになります!

 

こんな師長には、なんて言ったらいいんですか!?

 

◆目次

 

 

「新人を叱ってくれない師長」への伝え方

◆こんな師長にモノ申す!◆

「新人看護師のフォローで疲れ切っています。このままじゃ私が辞めたくなりますよ~」

 

「新人看護師を叱ってくれない師長」には、このようにモノ申してみましょう。

 

ポイントは、「辞めたくなりますよ~」と言い、切実さを伝える部分です。

 

ただ、本当に「辞める」と言いたいわけではなく、「疲れている」「つらい」を伝えるための表現なので、言い方はあくまでライトにしてみてくださいね。

 

もう1つのポイントは、理解しようとし過ぎない、我慢しようとし過ぎないことです。

 

看護師経験を積み、一人前に働けるようになってくると、職場の状況がなんとなく見えてくると思います。

新人看護師を育てる難しさや、離職が多いと「職場が悪い」と言われることを知っているから、自分がつらくても我慢してしまうことは多いはず。

 

「新人がなかなか成長してくれない」「教えていても手ごたえがない」とき、フォローで疲れるのは当然です。

 

それに、辛抱強く成長を待っていても、誰も気持ちをわかってくれなかったら、なんのために頑張っているかわからなくなりますよね。

せめて師長にはわかってほしいと感じることもあるでしょう。

 

 

新人を叱らない3つの理由

師長はなぜ新人を叱らないのでしょうか。

3つのパターンが考えられます。

 

【パターン1】

新人を叱っても効果がなく、「看護の質」が下がってしまうと考えている

師長の気持ち:「最近の新人看護師は打たれ弱い。叱っても真意が伝わらず、逆に動きが悪くなってしまう。私が考えなくちゃいけないのは看護の質。そのためには、新人を叱るより、良い部分を活かしてもらわないと」

 

【パターン2】

先輩看護師の成長を優先している

師長の気持ち:「新人の指導を通して、先輩ナースに成長してほしいわ。そうすれば新人の成長はあとからついてくる」

 

【パターン3】

辞められたら自分が困ると考えている

師長の気持ち:「最近の新人はつらいことがあるとすぐに離職する。1年以内に辞められると、私が看護部長に私が叱られちゃう。そんなの困る!」

 

 

3パターンそれぞれの師長の考え

【パターン1】

新人を叱っても効果がなく、「看護の質」が下がってしまうと考えている

この場合、師長は「看護の質の担保」を考えています。

新人を叱っても、真意が伝わらず、叱られたことばかりにくよくよして、逆に動きが悪くなってしまうことを懸念しているのです。

 

新人の動きが悪くなるということは、病棟全体で「看護の質」が下がるということです。

そのため、叱ることよりも、まずは新人看護師が定着することを優先しています。

 

新人看護師の成長プロセスはさまざまです。

お悩み主さんがフォローした新人のように、「ケアレスミスが多い」「思い込みが激しくて確認作業が十分にできない」看護師もいます。

でも、確認作業の重要さに気づき、行動を修正するには時間がかかります。

 

けれどその新人は、もしかすると「患者さんへのケアは丁寧」かもしれません。

そうしたら、動けなくなるよりも、「丁寧なケア」という良い部分を活かしてもらうほうが、看護の質は担保できますよね。

 

このように、新人には過大な期待をせず、まずは個性をつぶさずに定着してもらうことを意図しています。

 

【パターン2】

先輩看護師の成長を優先している

この場合、師長は「先輩看護師の成長」を意図しています。

 

先輩看護師が効果的な指導をできるようになれば、新人の成長という結果は、あとからついてきます。

 

また、「パターン1」に挙げた「看護の質の担保」のためにも、先輩看護師には新人の行動を予測して、ミスが起こらないように指導してほしいと考えています。

 

【パターン3】

辞められたら自分が困ると考えている

この場合は、残念ながらリーダーとしての意図はなく、師長自身の保身です。

 

全体的な視点や、先輩看護師への配慮が足りないという意味では、師長として未熟だといえます。

 

とはいえ、パターン1~3のどれだったとしても、あなたが新人に振り回される状況が続けば、疲れてしまいますよね。 

では、どうやって解決すればいいのでしょうか?

 

 

師長と「人材育成」について話してみる

新人のフォローに疲れてしまったときや、師長に疑問を感じるときは、

「新人看護師のフォローで疲れ切っています。このままじゃ私が辞めたくなりますよ~」

と伝えてみてください。

 

勇気は要るかもしれませんが、ライトな口調で切実さを伝えることができます。

 

この方法を使えば、意図が明確な師長からは、「○○という意図であなたにお願いしているのよ、苦労をかけてごめんね」などの言葉が聞けるかもしれません。

それに、新人を教育する看護師を増やすなどの、具体策に進展する可能性もあります。

 

また、師長が未熟な場合でも、「先輩看護師だって辞められたら困る!」という気持ちから、なんらかの対応を考えてくれることでしょう。

 

師長は新人だけを大事に思っているわけではありません。

とはいえ、先輩であるあなたが長い目で新人の成長を待てなくなったときは、疲れきっている証拠です。

 

誰かが犠牲になる必要はありません。

師長に状況を伝えることから始めてみてください。

 

さらには、師長と話すことであなた自身が「人材育成ってなんだろう?」と考え、成長できるきっかけになればと思います。

 

(文)

看護の悩み請負人 サト

 

(イラスト)

香川尚子(ホームページ)

 

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