「忙しいのに私語が多い師長」にどう対応する?|師長とのイザコザ解決策【1】

はじめまして。看護の悩み請負人のサトです。

私は元看護師ですが、今はナースからの悩み相談を仕事にしています。

 

この連載では、スタッフが悩みやすい「師長とのイザコザ」について、私が提示できる解決策をお伝えします。

師長はナースにとって頼れるリーダーですが、存在感が大きいだけに、解決しづらい悩みも多いですよね…。

 

この記事を読んだ皆さんが、師長とうまく付き合って、元気に働き続けられるように、手がかりを得てくれたら嬉しいです。

 

さて、今日のお悩みは?

 

師長とのイザコザ解決策【1】

「忙しいのに私語が多い師長」には、すまなそうな態度で伝えてみる

 

◆ナースのお悩み

私の病棟師長は私語が多い!

 

スタッフは忙しく仕事をしているのに、「今日の朝ドラがさ~」とか、話しかけてくるんです。

こっちは、カンファレンスだってできなくて困っているのに…。

 

師長のそういう話を聞くたびに、エネルギーを吸い取られて、やる気がなくなっていきます。

 

でも無視すると、翌月の勤務表がキツくなっているのがわかるのです。

なので、同僚たちは師長のショーモナイ話に付き合っています。

 

忙しいのだから、できるだけ時間を患者さんのために使いたいのに…!

ハッキリ言って、こんな師長の下にいるとレベルの低い看護師になってしまう感じがして仕方ありません…。

 

 

 

【こう言ってみよう】忙しいのに私語が多い師長への伝え方

◆こんな師長にモノ申す!◆

 

「すみません…。仕事を始めたいので、その話…、あとで聞いてもいいですか?」

 

「忙しいのに話しかけてくる師長」には、このようにモノ申してみましょう。

たとえ師長にイライラしていたとしても、すまなさそうに伝えて、すぐにその場を去るのがポイントです。

 

…とはいえ、ぶっちゃけ言いづらいですよね。

機嫌を損ねたら、来月の勤務表もキツくなるし。

 

だからこそ、師長に伝えるときは、イライラをおさえ、申し訳なさそうに、「すみません…」と切り出しましょう。

すまなそうな様子から、「話は聞きたいんだけど…」というニュアンスを伝えるのが大切です。

 

また、「その話…、あとで聞いてもいいですか?」という言い方をすれば、「私(たち)は、朝ドラについては、今話すことではないと思っています」というメッセージを込めることができます。

 

つまり、「患者さんのために時間を使いたいです」という気持ちも伝えることができるのです。

 

 

【理由】忙しいのに私語が多い理由には3つのパターンがある

正直、忙しいのにショーモナイ話を投げかけられたら…、イラっとすると思います。

でも、怒りをおさえて…、師長が「忙しいのに話しかけてくる理由」についても考えてみましょう。

 

以下の3つのパターンが考えられます。

【パターン1】

スタッフに何かを伝えようとしている

師長の気持ち:「あなたたち、余裕がないように見えるわよ。そんな態度で働いていると、患者さんだって話しかけづらいじゃないの。気持ちに余裕をもちなさい!」

 

【パターン2】

スタッフが忙しいことに気づいていない

師長の気持ち①:「スタッフとコミュニケ―ションを取りたいわ。仕事中だってギスギスしているより、楽しい話もしないとね♪」

師長の気持ち②:「私が気を遣って話しかけてあげているのに、全然分かってないのね(怒)」

 

【パターン3】

自分のことしか考えていない

師長の気持ち:「私は、おしゃべりが大好きだから、みんな付き合ってよね」

 

3つとも、背景にはなんらかの「師長の気持ち」があります。

 

そもそも…、本来の師長の仕事とは、「病棟ナース全体として、患者さんにどのような看護を提供すべきか考え、実行する」ことです。

 

そして、その理想に向かってスタッフが働けるよう、マネジメントを行います。

ここでいうマネジメントとは、4つのプロセスのことです(いわゆる「PDCAサイクル」)。

 

【Plan】「したい看護の実現」に向けてプランを考える。

【Do】プランを実行するためにスタッフナースに介入する。

【Check】スタッフナースの行動や、それぞれの強みや弱みを評価する。

【Act】スタッフナースへ改善点をフィードバックする。

 

このように、師長はプランを立て、スタッフナースに介入し、評価し、フィードバックすることがお仕事です。

そのため、たとえショーモナイ話題であっても、もしかしたら意図をもってスタッフナースに話しかけていることもある…、のです。

 

 

【背景】3パターンそれぞれの師長の考え

【パターン1】

「何かを伝えようとしている」

この場合は、師長の「プラン」は患者さんが主体です。

「余裕をもった態度で看護を行う」というプランのもとに、スタッフにはゆとりある態度を身につけてほしいという考えがあります。

 

【パターン2】

「スタッフナースが忙しいことに気づいていない」

これは、師長の「プラン」は看護師主体になっています。

「楽しい雰囲気で仕事をしたい」「仲良くなりたい」というプランのもとに、チーム内の雰囲気を良くしたいという考えがあります。

 

【パターン3】

「自分のことしか考えていない」

この場合は残念ながら、「プラン」を実現するための言動ではないので、師長として未熟であるといえます。

 

でも、どのパターンだったとしても、今回のお悩みでは、師長の私語がスタッフのやる気を削いでしまっていますね。

それは、師長の仕事がうまくいっていないということです。

 

では、どうやって解決すればいいのでしょうか?

 

 

【解決策】「考えを相手に伝える」こと

師長も人間です。

あなたと同じように、いろんな言葉に傷つくし、怒りもします。

(よくないことですが、怒りの感情が勤務表に影響を与えてしまっているのでしょう…)

 

もしかしたら、「私だっていろいろ考えて行動しているのに、スタッフにわかってもらえない!」という気持ちになっているかもしれません。

 

このようにお互いを感情で傷つけないためには、「考えを相手に伝えること」が必要です。

お悩み主の師長さんも、感情を勤務表に反映させる前に、考えがあるなら皆に伝えてほしいですね。

 

でも、「考えがあるなら伝えてよ~」と一方的に不満を感じる前に、自分の気持ちを師長に伝えてみるのが解決策になります。

 

そこで、勇気を出して、「すみません…。仕事を始めたいので、その話…、あとで聞いてもいいですか?」という言葉から始めてみてほしいと思います。

 

 

【まとめ】

本来ならば師長は、自分のプランや考えを、スタッフに伝えながら日々の業務を進めるのが理想です。

そうすれば、スタッフには師長の考えがわかり、どう立ち振る舞えば良いの判断できるので、働きやすさを感じられると思います。

 

でも、師長も人間なのでカンペキではないのだと理解することも重要です。

師長の考えがわからないときには、師長の気持ちや、背景にある考えに配慮しながら、自分の気持ちを伝えるようにしてみてください。

 

また、師長が考えを伝えなくても、その意図を汲み取ることができる成熟したスタッフがいる職場もあるようです。

師長の行動や言動には、質の高い看護を実現させるための意味があると、読み取ることができるのが、成熟しているナースだといえます。

 

自分の成熟度を高めていくことで、未熟な師長にあたる度に嫌な思いをしなくても済むようになるともいえます。

 

成熟したナースになるための第一歩として、「すまなそうに伝えてみる」ことから、始めてみてくださいね。

 

(文)

看護の悩み請負人 サト

 

(イラスト)

香川尚子(ホームページ)

 

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