そろそろ私も?と思ったら…更年期障害と上手に付き合うコツ

婦人科医の清水なほみが、看護師のみなさんに知っておいてほしい病気についてお知らせします。

 

働くナースが知るべき病気【3】

そろそろ私も? と思ったら…更年期障害と上手に付き合うコツ

 

更年期とは、閉経をはさんで前後10年の時期のことを指します。閉経の平均年齢は約50歳なので、標準的には大体45歳~55歳が「更年期」ということになりますが、閉経年齢には個人差があり、早い人は40代前半でも更年期に差し掛かることもあります。

 

更年期という時期は心身の状態が変化しやすいだけでなく、夫の定年や子どもの受験や親の介護など、ライフイベントが起きやすい時期です。ある意味「今は色々重なっているだけ」と割り切るくらいの気持ちでよいのです。

 

「更年期」は、その年齢を迎えれば女性なら誰にでも訪れるものですが、その時期に出現する心身のさまざまな不調は「更年期症状」と言って、症状の現れ方は人それぞれです。この「更年期症状」が極端にひどく、日常生活にまで支障をきたしてしまう場合は「更年期障害」と言って治療の対象になります。

 

体調不良や心の不調が続くと、緊張感の多い看護師の仕事を続けることが不安になってしまう人もいると聞きます。うまく付き合って乗り切りたいですね。

 

【目次】

更年期障害のさまざまな症状

自分を甘やかす!

日常生活をペースダウンしよう

治療で症状は改善できる

 

 

 

更年期障害のさまざまな症状

更年期障害の症状としてよく言われているのがのぼせ・ほてりといった「ホットフラッシュ」ですが、この時期に出現する症状は非常に多岐に渡ります。

 

体の症状:のぼせ・ほてり・発汗・めまい頭痛・息苦しさ・胸の痛み・膝やかかとの痛み・喉のつかえ感・疲れやすさ・皮膚の乾燥感など

心の症状:イライラ・不眠・気分の落ち込み・やる気が出ない・集中力の低下・性欲の低下など

 

ずっと続くめまいが更年期のせいだと気付かず、内科や耳鼻科を何箇所も回ったり、神経外科で脳の精密検査まで受けたりされる方もいらっしゃいます。月経がまだきちんと来ていても、更年期症状が出る方もいらっしゃいますので、40歳を過ぎて「何だかよくわからない体調不良」が続いた時は、念のため婦人科で相談してみることをお勧めします。


もちろん、胸の痛みが心臓の病気のせいだったり、めまいや鳴りが脳腫瘍のせいだったりすることもありますから、どの症状も「きっと更年期」と放置せず、各科での精密検査は受けた方が安心です。

 

 

付き合い方1:自分を甘やかす!

更年期障害が出やすい方に共通しているのが、まじめで人に頼るのが苦手で、頑張りすぎる傾向にあるというキャラクターです。カウンセリングによって「頑張らなくてもいいんだ」ということに気付き、自分を甘やかす事を許せるようになるだけでも症状が軽くなることがあります。

 

 

付き合い方2:日常生活をペースダウンしよう

更年期は誰もが経験するものなので、多少の体調不良があっても日常生活に支障がないのであれば、絶対に治療しなければいけないというものではありません。この時期は、心身のいろいろな不調が出やすいのと同時に、今まで多少無理ができていた人でも体力や抵抗力が落ちる年齢です。その事を自覚した上で、日常生活を見直していくといいでしょう。


更年期の過ごし方は、全てにおいて今までの8割くらいにペースダウンすることがポイントです。

 

 

付き合い方3:治療で症状は改善できる

逆に、更年期症状がひどすぎて日常生活もままならない時は、早めに治療を開始することをお勧めします。中には、うつ状態がひどくて家事が何もできなくなったり、一歩も外に出られなくなったりする方もいらっしゃいます。

 

2~3ヶ月ホルモン補充療法をするだけで症状の大部分は改善します。辛い症状は我慢せず、適切な治療を受けて快適に過ごしましょう。

 

更年期障害の治療は、ホルモン補充療法・漢方治療・安定剤や自律神経調節薬による対症療法・アロマやサプリメントによる治療・カウンセリング、などいろいろありますが、どれを選択するかは、症状の程度によります。もちろん、複数の治療を組み合わせることもよくあります。


症状が落ち着くまで毎日の生活を少しペースダウンして、自分のことにかまけてみて下さいね。

 


【清水なほみ】

日本産婦人科学会専門医で、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。産婦人科・女性医療統合医療を専門に、患者に最適な医療を提供。クリニックのほかに、NPO法人やAll aboutガイドなどでも情報提供や啓発活動を行っている。

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