身体計測の基本原則
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は身体計測の基本原則について解説します。
風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室
身体計測の基本原則
- 小児の発達段階に合わせて測定器具を選択する。
- 正確な測定器具を使用する。
- 測定条件:
測定器具・測定部位・測定時間、運動・入浴・食事・排泄・体位・衣服などの条件を一定にする。 - プライバシーの保護、保温に十分注意する。
- 小児の安全・安楽を考慮し、適切な手順と手技で行う。
- 測定前に前回の測定値を確認し、測定直後に比較して、アセスメントを行う。
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身体計測の種類
小児の身体計測の種類は図1のとおり。
図1 身体計測の種類
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身体計測の意義と特徴
小児期は、成長・発達が著しい時期
小児期、特に乳幼児期は成長・発達が著しい時期である。身体計測の結果を評価することにより、発育状態、栄養状態、疾病の早期発見に役立てる。
身体計測は定期的に行うことで、経過観察となり、治療方針・看護方針の指標となる。
体重:3か月児は、毎日30gずつ体重が増加中!
体重は、生後数日間は減少し(生理的体重減少)、その後、増加し始める。生後3~4か月児で出生時の約2倍、1歳児で約3倍、4~5歳児で5~6倍になる(図2)。
1日平均の体重増加量は0~3か月で30g、3~6か月で20gである。乳児期の栄養摂取量や体重増加を評価する際、「平均1日体重増加」がよい指標となる。
図2 小児の1日平均体重増加量
頭囲・胸囲:年齢が小さいほど、頭でっかち
出生時の頭囲は約33cmで、胸囲より大きい(図3)。これが生後1か月から、頭囲と胸囲はほぼ等しく成長し、1歳前後で一致する。2歳以降には胸囲が頭囲より大きくなる。
生後1年で頭囲は約46cm、成人の約80%となる。乳児期には脳が著しく発達するためである。
胸郭は、新生児期は左右径と前後径の比がほぼ1:1で、横断面は円形である。年齢とともに左右径が前後径より大きくなり、横断面は楕円形となる。成人では胸郭の前後径と左右径の比は1:1.45である。
図3 小児の頭位と胸囲
体型:年齢が小さいほど、胴長短足
身体の構成部分は、それぞれの発達速度を持ち、年齢とともに変化する。
新生児は、成人に比べて頭部・体幹が大きい。頭長と身長の比は新生児では1:4、2歳児では1:5、12歳児では1:7、成人では1:7.5~8である(図4)。
下肢長と身長の比は新生児で1:3、成人で1:2。年少児ほど重心が上にあり、転倒しやすい。
図4 年齢による体型変化
乳幼児の身体計測値と必要摂取カロリーの基準は(表1)のとおり。
表1 乳幼児の体重、身長、頭囲の成長と必要カロリーの基準
*厚生労働省,平成12年度日本人乳幼児の身体計測値および第六次日本人栄養所要量より概算/児玉浩子:2 成長.小児科学.文光堂,2004,p.12より
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ