遊びの援助
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は遊びの援助について解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
遊びの援助
病気があっても、小児には遊びが必要であり、遊びを奪ってはならない。入院生活に、遊びを取り入れるよう援助する。
おもちゃの選択
おもちゃは、発達段階(乳児・幼児・学童期)や性別に応じて準備する。
乳幼児では、口に入る大きさのおもちゃは禁物。口に入れて気道に詰まり、窒息する危険がある。
患児が、自ら好きなおもちゃを選んで遊べるよう、援助する(図1)。
図1 おもちゃの選択
スキンシップ
乳幼児に絵本を読み聞かせる際は、可能なら抱っこしてスキンシップを図る(図2)。
図2 スキンシップ
絵本の読み聞かせ
絵本は、患児の発達段階に合わせて選ぶ。
絵を指し示して「○○ちゃんは、どうかな?」などと言葉をかけながら、読み進める。声の調子や大きさに変化をつけ、患児の興味を誘う(図3)。
図3 絵本の読み聞かせ
手遊び
歌いながら、手振りで遊ぶ「手遊び」は、全身を動かすことなくベッドで楽しく遊べる(図4)。援助者は、日頃からさまざまな手遊びを覚えておくとよい。
図4 手遊び
工作物での遊び
ときには、身近な素材でおもちゃを作り、患児といっしょに遊びたい。紙コップに輪ゴムを十文字にかけ、重ねて手を離すと、「あっ! ジャンプした!」(図5)。材料を用意し、患児といっしょに作るとよい。
図5 工作物での遊び
エプロンシアター
フェルト人形にはマジックテープがついており(図6)、話を進めながらエプロンにとめていく。エプロンのポケットから、物語の登場人物が次々に現れ、患児は大喜び(図7)。
図6 エプロンシアター
図7 ポケットから物語の登場人物が飛び出す
プレイルームの活用
院内にプレイルーム(図8)を設けると、遊びの範囲が広がり、患児同士の交流も広がる。プレイルームを設置する際は、以下の点に留意する。
●清掃が行いやすく、清潔が保てる安全な床材を使用する。
●点滴スタンドを使用している患児が利用できるよう、十分なスペースを確保する。
●患児が興味を示す装飾を行い、明るい雰囲気をつくる。
●発達段階に合わせておもちゃを選べるよう、収納を工夫する。
●プレイルームは患児が安心できる場であることを保障するため、医療処置は行わない。
図8 プレイルーム
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ