小児のバイタルサインの特徴
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は小児のバイタルサインの特徴について解説します。
風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室
小児のバイタルサインの特徴
- 発達段階に応じた測定器具、測定方法、測定技術を選択する。
- 発達段階に合った正常値を把握することが必要である。
- 小児は言語機能が未発達であり、言葉での表現が不明確であるため、正確な観察が必要である。
- 成人より症状の進み方が速い。
- 環境や個人的条件によって変動しやすく、不安定。
変動を注意深く観察することが、早期発見・早期対処につながる。
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観察の種類
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小児のバイタルサイン
小児のバイタルサインは、発達とともに変化する
小児の体温・脈拍・呼吸・血圧といったバイタルサインは、成人とは異なる特徴を持つ。発達段階に応じた小児のバイタルサインの特徴と正常値を知ることが大切である。
体温:成人と比較して高い
小児の正常体温は成人と比較して高く、36.0~37.5℃である(図1)。6~10歳で成人と同等になる。ほぼ7歳以降から、生理的日内変動として、午後から夕方にかけて体温が0.5~1℃上昇する。
体温異常:発熱・うつ熱(衣類などの枚数が多すぎ、環境温度が高すぎる)
脈拍:脈拍数が多く、成長とともに減少
小児の脈拍数は成人より多く、成長とともに減少する(図2)。呼吸性の変動があり、睡眠時や安静時に著明である。
興奮すると脈拍数が増加するため、睡眠時や安静時に測定。呼吸性の脈拍変動があるため、1分間測定する。
新生児・乳児や心疾患がある小児、重症児では、聴診器で心拍数・心雑音を聴取する。
呼吸:腹式呼吸から胸腹式、胸式に移行
呼吸回数・様式(パターン)は年齢によって変化がある(図3、表1)。
呼吸数は、胸腹部に軽く手を置いて、1分間の上下運動の回数を測定する(表2)。泣いたり、興奮状態であると正常値が得られないため、睡眠時・安静時に行う。また、聴診器を当てて呼吸音を聴く。
血圧:年齢とともに高くなり、生活因子の影響も受ける
血圧は成長とともに変化し、年齢とともに高くなる。また、食事や運動、精神状態などの生活因子の影響を受ける(表3)。血圧は上下肢、左右肢で測定値が異なり、下肢は上肢より10~20mmHg高い。右は左より、やや高めに測定される。
血圧測定用のマンシェットは年齢や体の大きさで選択し、上腕の2/3を覆うものにする。
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ