心拍再開後、ドパミン投与の指示。輸液ポンプを取りに行くべき?手動投与でいい?
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『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心拍再開後のドパミン投与について解説します。
森田千秋
聖隷佐倉市民病院 外来係長/救急看護認定看護師
心拍再開後、ドパミン投与の指示。輸液ポンプを取りに行くべき?手動投与でいい?
輸液ポンプを取りに行きましょう。
ドパミンは、循環動態に影響を与える薬剤です。正確に投与する必要があるため、必ず輸液ポンプを使用します。
ドパミンは、血管収縮作用や強心作用をもつ循環作動薬で、急性循環不全など、血圧低下時に使用される薬剤です。
「心拍再開後」は、循環動態が非常に不安定な状態です。そのため、心臓のポンプ機能をバックアップする目的で、ドパミン投与の指示があったと推測できます。
ドパミンの特徴
1 投与量によって、得られる作用が異なる
通常、ドパミンは、1~20μg/kg/分の範囲で使用されます。投与量によって、その効果に違いがあることをおさえておきましょう(表1)。
なお、ドパミンではγ[ガンマ](=μg/kg/分)という単位を用いることが多いです。
2 必ず輸液ポンプで投与する
ドパミンは、患者の状態によって、期待する効果が得られるように投与量を調整しなければなりません。そのため、正確な投与が必要となることから、輸液ポンプが必須です。
手動で滴下した場合、薬液の高さが変わっただけでも、投与速度が変わってしまい、過剰投与・過少投与となる危険性が考えられます。
過剰投与(急速静注)された場合は、不整脈を誘発し、過度な頻脈となります。一方、過少投与となった場合は、循環不全を引き起こしている患者にとって効果が不十分となり、生命の危険につながります。
輸液ポンプは、輸液速度を正確に調整したいときに使用する機器です。病棟に輸液ポンプが何台あるのかを確認し、いつでも使えるように準備しておきましょう。
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引用・参考文献
1)清村紀子 編:重症患者ケアパーフェクトブックQ&A.学研メディカル秀潤社,東京,2013:214‐218.
2)田村有人:循環作動薬.大野博司,志賀隆 編,ER・ICUの薬剤121.メディカ出版,大阪,2015:146‐153.
3)鶴田良介 編:急性期ケアに必要な輸液の知識.メディカ出版,大阪,2012:154‐155.
4)阿部雅美:救急必須の薬剤一覧.エマージェンシーケア 2011;24(4):71‐76.
5)畝井浩子:昇圧・強心薬.エマージェンシーケア 2014;27(9)24‐25.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社