吐血で周囲が血まみれ!でもマスク・エプロン・手袋しかない。そんなとき、どうする?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は急変時の吐血対応について解説します。
小林英貴
千葉県救急医療センター 救急外来・手術室主任/救急看護認定看護師
吐血で周囲が血まみれ!でもマスク・エプロン・手袋しかない。そんなとき、どうする?
標準予防策と経路別予防策に準じたPPE(個人用防護具)を装着しなければなりません。吐血の場合、ゴーグルとキャップも必須です。
患者の急変時、迅速な対応と安全確保は、患者にとって重要です。同時に、医療者自身の安全確保も必要です。医療者の職場環境は、常に自らが感染する危険性をはらんでいます。看護師がケアを行う対象は、感染症のある(あるかもしれない)患者です。
標準予防策の原則は「あらゆる人の血液、すべての体液、分泌物、汗以外の排泄物、創傷のある皮膚、および粘膜には感染性があると考えて取り扱う」ことで、「感染性病原体の存在が疑われるかどうかにかかわらず、あらゆる医療環境のすべての患者ケアに適用する」ことを意図しています(図1)。
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PPE選択のポイント
PPE(個人用防護具)の選択において最も重要なのは、①湿性生体物質の曝露・汚染から身体・白衣を防護できるものを選ぶ、②必要なときに適切な方法で確実に実行する、の2点です。
この標準予防策は、すべての患者に実施する必要がありますが、患者の疾患によって菌やウィルスが特定され、標準予防策に追加して実施する予防策として、接触感染・空気感染・飛沫感染に対する経路別予防策も必要となることを理解する必要があります。
吐血患者に対応する場合は、時間的猶予の有無にかかわらず、血液の浸透しないサージカルマスク・ガウンや身体を覆えるエプロン、手袋、ゴーグルやフェイスシールド、キャップまでのPPEを確実に行ってから対応してください。可能なら、同室患者の移動を考慮すると、感染拡大予防につながります。
感染防止の基本である標準予防策を正しく理解しましょう。特に、感染予防に効果の高いPPEと手指衛生については、習慣化しておく必要があります。
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引用・参考文献
1)岩田浩幸:感染症対策の標準化とチームでの対応(2)Standard Precautionの重要性.BRAIN 2013;2:175.
2)Garnar JS 著,小林寬伊 監訳:病院における隔離予防策のためのCDC最新ガイドライン.メディカ出版,大阪,1996.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社