頭部血管肉腫|悪性腫瘍⑧

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は頭部血管肉腫について解説します。

清原祥夫
静岡がんセンター皮膚科

 

 

Minimum Essentials

1高齢者の頭部に生じる、血管内皮細胞由来の悪性度の高い肉腫である。

2易出血性の結節や腫瘤で、周囲に紫斑、褐色斑がみられる。

3手術、抗がん薬投与、分子標的薬での治療を行う。

4局所再発や肺転移を生じやすく、きわめて予後不良である。

 

頭部血管肉腫とは

定義・概念

血管やリンパ管の内皮細胞由来の肉腫である。高齢者の頭部、顔面に生じる。

 

原因・病態

皮膚、軟部組織の間葉系悪性腫瘍の約1%を占める、まれな疾患である。誘発因子の1つとして外傷が推測されている。

 

スチュワート・トレベス(Stewart-Treves)症候群

子宮癌や乳癌の手術後や、放射線照射後のリンパ浮腫の四肢などに生じる血管肉腫をスチュワー卜・トレベス症候群という。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

易出血性の結節や腫瘤で、周囲に暗赤色斑~紫斑を伴う(図1)。

 

図1悪性血管内皮細胞腫(血管肉腫)

被髪頭部の境界不明瞭な暗赤色~褐色斑。局面内の一部に暗赤色の結節がみられる。

悪性血管内皮細胞腫(血管肉腫)

 

検査

生検組織で確定診断する。早期に肺転移などを生じていることがあるので、X線、CT、PET、超音波検査などで全身検索をする。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

可能であれば広範囲に切除する。ただし再発率が高いので、電子線療法、インターロイキン2投与などを組み合わせた集学的治療が必要となる。また、最近分子標的薬での治療効果が注目されている。

 

合併症とその治療

手術あるいは治療に伴う合併症があり、それぞれに対応する。

 

治療経過・期間の見通しと予後

局所再発しやすく、早期にリンパ行性・血行性に転移する。初診から死亡まで1、2年のことも多く、予後はきわめて不良である。

 

看護の役割

治療における看護

高齢者が多いので、治療については家族を交えて説明する。


医師の説明した手術法、術後に予想される容貌の変化について、患者が十分に理解できたかを確認する。

 

フォローアップ

治療後も局所再発や遠隔転移、とくに肺転移を慎重にフォローする必要があり、定期的に受診するよう指導する。

 

患者は術後の容貌の変化に対し不安をもつことが多いので、それを理解し、支援するよう心がける。
 

 

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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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