スイート(Sweet)病|紅斑症④

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回はスイート(Sweet)病について解説します。

 

藤山俊晴
浜松医科大学皮膚科学講座

 

 

Minimum Essentials

1好中球の機能が亢進し、全身の炎症と皮疹が出現する疾患。さまざまな疾患に合併する。

2急性に発症する。発熱、好中球増多、痛みのある浮腫性紅斑を特徴とする。

3ステロイド薬内服、またはヨウ化カリウム内服を行う。

4治療開始後、合併症がなければ治療への反応性は比較的良い。

 

スイート病とは

定義・概念

発熱、好中球増多とともに有痛性浮腫性紅斑がみられる、急性の全身炎症性疾患で、種々の基礎疾患を合併する。

 

原因・病態

原因は不明だが、先行する感染症膠原病などの炎症性疾患、悪性腫瘍、造血器疾患などに合併することが多い。

これらの基礎疾患により、好中球の増殖や浸潤を促すようなサイトカインが産生されて発症する機序が考えられている。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

通常は高度の発熱が先行し、その後に境界明瞭で軽度隆起した淡紅色または暗紅色の瑞々しい浮腫性紅斑が出現する(図1)。
 

図1スイート病

上肢出現した瑞々しい紅斑。全身に紅斑が多発し、発熱を伴う。

スイート病/上肢出現した瑞々しい紅斑。全身に紅斑が多発し、発熱を伴う。

 

圧痛を伴う皮疹の好発部位は、顔面、頸部、上肢、上背部である。結節性紅斑の皮疹と類似するが、結節性紅斑は下肢に多いことで鑑別する。このほか、関節症状や神経症状なども出現することがある。

 

検査

本症に特異的な血液検査所見はなく、好中球優位の白血球増多、CRP高値、血沈亢進などの炎症所見がみられる。骨髄異形成症候群関節リウマチ、シェーグレン(Sjögren)症候群、潰瘍性大腸炎などの合併頻度が高いため、これらのスクリーニングを行う。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

合併症の有無や症状に応じて、ヨウ化カリウムまたは中等量のステロイド薬内服を行う。

 

合併症とその治療法

先述のように、造血器疾患、膠原病、炎症性腸疾患などさまざまな基礎疾患を背景に発症することが多いため、基礎疾患の診断とその治療も行う。

 

治療経過・期間の見通しと予後

基礎疾患がなければ、治療に比較的良好に反応し、一過性の経過で予後良好であることが多い。

 

看護の役割

治療における看護

種々の合併症が隠れていることがあるため、患者の訴えを聴く。

 

フォローアップ

基礎疾患を合併する例などでは再発することもあり、基礎疾患の精査や加療が重要である。

 

 

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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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