分娩監視装置|胎児心拍数モニタリング①

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は胎児心拍数モニタリングのうち、分娩監視装置について解説します。

 

 

立岡弓子
滋賀医科大学医学部看護学科教授

 

 

ノンストレステスト

ノンストレステスト(Non-stress test:NST)とは、陣痛(子宮収縮のない状態)での胎児心拍数モニタリングのことをいう。胎児に負荷を与えずに妊娠中の胎児のwell-being(健康な状態である)を評価する方法である。分娩監視装置を行い、40分間モニタリングする。また、胎動マーカーにより、胎動による胎児心拍数の変動を観察する。実施時期は、胎児の神経系制御機能の発達時期から妊娠27週以降とする。

 

 

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分娩監視装置の装着方法

必要物品(図1

分娩監視装置の必要物品は以下です(図1)。

 

トランスデューサベルト(外側用ベルト)、②心音トランスデューサ、③陣痛トランスデューサ、④胎動マーカーボタン、⑤モニタ用ゲル

 

図1 必要物品

分娩監視装置の必要物品

 

胎児超音波ドップラー心拍数計:母体の腹壁にプローブをあて、子宮内の胎児心臓に向けることで胎児心音を聴取する機器(図2)。

 

図2 胎児超音波ドップラー心拍数計

胎児超音波ドップラー心拍数計


分娩監視装置:陣痛の頻度・長さ・強さ・感覚を観察し、胎児の心拍数と陣痛を連続的に測定し、記録する装置である(図3)。

 

図3 分娩監視装置

分娩監視装置

 

事前準備での説明

1妊婦に検査の目的と分娩監視装着の同意を得る。

2妊婦に、排尿を促し、膀胱を空にするように説明する。

 

手順

1妊婦にセミファーラー位をとってもらい(図4)、レオポルドの触診法にて胎位・胎向を確認する。

 

図4 セミファーラー位

セミファーラー位

 

2外側用ベルト2本を妊婦の腰部に入れて、たわまないように平らにそろえる。

 

3胎児超音波ドップラーで胎児心音の位置を正確に確認し、心音トランスデューサにモニタ用ゲルをつける。

 

4心音トランスデューサの固定部位(突起)をベルトの穴に通して装着する。このとき、きつく装着しないように、指1横指の余裕をもたせる。

 

5陣痛トランスデューサを子宮底の平らな部分に、受圧面があたるように装着する(図5)。

 

図5 陣痛トランスデューサの装着

陣痛トランスデューサの装着

 

6軽い掛け物をし、自覚した胎動を記録するために、胎動マーカーをわたす。胎動を感じたら、そのつどボタンを押すように説明する。

 

7原則として、40分間モニタリングし、胎児の健康状態を評価する。

 

8正常胎児心拍数パターンであることを確認して、モニタリング終了の判断をする。

 

9終了後、2つのトランスデューサをはずし、ティッシュペーパーか蒸しタオルでモニタ用ゲルを拭き取り、カバーをする。

 

10外側用ベルトを腰部からはずす。

 

11記録紙は、ストッパーをはずしてから切り取る。

 

留意事項

子宮収縮により子宮が小さくなるので、陣痛計が子宮の辺縁に近い部分にある場合や、固定用のベルトが緩すぎたり左右で強さが違ったりした場合に、陣痛計が皮膚から浮き上がり、陣痛トランスデューサに圧がかからなくなる(図6)。

 

図6 陣痛トランスデューサ装着時の注意点

陣痛トランスデューサー装着時の注意点

 

なぜセミファーラー位なのか?

Column 看護師イラスト

A.増大した妊娠子宮により下大静脈が圧迫されて、心臓への血液の環流が減少してしまう。仰臥位低血圧症候群を予防するためにセミファーラー位で行う。ときに、腰痛を訴える妊婦もいるため、左側臥位で行うこともある。

 

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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