脳の血流と頭蓋内圧、脳のホルモン分泌

『本当に大切なことが1冊でわかる脳神経』より転載。
今回は頭蓋内圧やホルモン分泌について解説します。

剱持雄二
東海大学医学部付属八王子病院看護部主任
集中ケア認定看護師

 

 

頭蓋内圧って何?

頭蓋内圧は頭蓋骨内部の圧のことで、脳には頭蓋内圧の自動調節能があります(図1)。

 

図1頭蓋内圧の自動調節能

図1頭蓋内圧の自動調節能

 

頭蓋内圧は、モンロー・ケリーの法則によって決定されます(図2)。

 

脳の血流は灌流圧によって調節されています。水は高いところから低いところへ、圧力の差によって流れるため圧較差が大きいほど勢いよく流れます。同様に、動脈血も灌流圧という圧力で頭蓋内に流れ込むのです。

 

図2モンロー・ケリーの法則

図2モンロー・ケリーの法則

 

 

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頭蓋内圧亢進のメカニズム

頭蓋内圧が亢進すると、灌流圧が低下し、脳血流が減少します(図3)。さらに亢進し血圧よりも高くなった場合、血液は頭蓋内に入らなくなります。

 

図3頭蓋内圧亢進状態の脳

図3頭蓋内圧亢進状態の脳

★1 脳梗塞
★2 脳出血
★3 クモ膜下出血
★4 水頭症

 

頭蓋内圧亢進が進むと脳ヘルニアを起こし、危機的な状況に陥る場合があります。

 

memo:脳ヘルニア

頭蓋内圧亢進により脳組織が押し出された状態のこと。脳組織により脳幹が圧迫されると生命に危険が及ぶ。

 

モンロー・ケリーの法則でみてみると、図4のようになります。また、頭蓋内圧亢進の原因を表1に示します。

 

図4モンロー・ケリーの法則で正常・異常をみてみると…

図4モンロー・ケリーの法則で正常・異常をみてみると…

 

表1頭蓋内圧亢進の原因

表1頭蓋内圧亢進の原因

 

 

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脳のホルモン分泌

ホルモンを生成し、外分泌腺などの導管を用いずにこれを血液中に分泌する内分泌腺で構成される系統のことを内分泌系といいます(図5)。

 

図5ホルモンを分泌する器官

図5ホルモンを分泌する器官

 

ホルモンは血流に乗って全身に運ばれ、各所で作用します。

 

脳でホルモンを分泌する器官は下垂体です。

 

下垂体前葉からは成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン(黄体刺激ホルモン〔PRL〕)が分泌されます。

 

下垂体後葉からはオキシトシン抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌されます。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経』 編集/東海大学医学部付属八王子病院看護部/2020年4月刊行/ 照林社

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