植込み型除細動器(ICD)

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は植込み型除細動器(ICD)について解説します。

 

小野木晃
新東京病院看護部

 

植込み型除細動器(ICD)はどんな治療?

植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)は、突然の致死性不整脈(心室頻拍、心室細動)の発生を検知して、電気的治療(除細動)を行います。致死性不整脈に対する治療は除細動が基本ですが、ある程度発生の予測ができる患者さんに対してICDが選択されます。

 

ICDの頻脈に対する治療は以下の3つがあります。

 

抗頻拍ペーシング

心室頻拍が起こった際に、頻拍よりも少し早くペーシングを行います(図1)。ほとんどの場合は苦痛を感じませんが、患者さんによっては動悸を自覚することがあります。

 

図1抗頻拍ペーシング

抗頻拍ペーシング

 

カルディオバージョン

抗頻拍ペーシングで治療できなかった心室頻拍に対し、安全なタイミングで電気ショックを行います(図2)。患者さんは、「不意に胸をたたかれたような感じ」を自覚します。

 

図2カルディオバージョン

カルディオバージョン

 

除細動

心室細動が起こった際に、カルディオバージョンよりも強いエネルギーで電気ショックを行います(図3)。患者さんは「胸を蹴られたような感じ」を自覚します。

 

図3除細動

除細動

 


文献

  • 1) 山名比呂美:特集 60問トライアル ハートナース検定.ハートナーシング 2016:29(12):40-41.
  • 2)循環器用語ハンドブック:僧帽弁閉鎖不全[症].(2019.09.01アクセス)
  • 3)日本循環器学会:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版).(2019.09.01アクセス)
  • 4)齋藤滋監修,高橋佐枝子,島袋朋子編:やさしくわかる心臓カテーテル 検査・治療・看護.照林社,東京,2014.
  • 5)尾辻豊:心臓弁膜症・心内膜炎.医療情報科学研究所編,病気がみえる vol.2 循環器 第4版,メディックメディア,東京,2017:202-230.
  • 6)長沼亨:弁膜症 実地医療で実践すべき診療のプロセス弁膜症 実地医家が知っておくべき現代の弁膜症 経カテーテル僧帽弁逆流症治療MitraClipとは.Medical Practice 2017;34(12):1999-2005.
  • 7)高谷陽一,赤木禎治:はやわかり! Amplatzerの実際と必要な看護.ハートナーシング 2015;28(7):710-712.
  • 8)日本メドトロニック株式会社:ペースメーカって、何ですか? 2013年12月改訂版.(2019.09.01アクセス)
  • 9)吉川糧平,岡村篤徳,南口仁 他:第6章 心臓カテーテル治療.粟田政樹,田中一美編,はじめての心臓カテーテル看護 -カラービジュアルで見てわかる!.メディカ出版,大阪,2013:65-87.

 

 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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