血管内イメージング/大動脈造影検査(AOG)/心筋生検 |左心カテーテルの検査
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は血管内イメージング、大動脈造影検査(AOG)、心筋生検について解説します。
湯浅 雪
新東京病院看護部
〈目次〉
血管内イメージング
より安全・確実な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行うために、近年活用されているのが血管内超音波検査(intravascular ultrasound;IVUS)や光干渉断層法(optical coherence tomography;OCT)などのイメージングデバイスです。
血管内超音波検査(IVUS)
カテーテルの先端に超音波を発振、検出するプローブがあり、プローブを360度回転させることで、血管を輪切りにした断面図をリアルタイムに観察できます(図1)。血管の内径、外径、血管壁の構造(石灰化やプラーク量など)、分岐の情報などを得ることができ、ステント留置前の病変の評価や留置後の圧着、解離や血栓の有無などアンギオだけではわかりづらい詳細な病変情報が得られます。
光干渉断層法(OCT)
近赤外線を用いて、プラーク性状や血管壁、ステントの状態などを詳細に評価できます(図2)。解像度が約10~15μmとIVUSの約10倍の高い分解能があり、IVUSの弱点である石灰化や血栓などの評価にすぐれています。新生内膜の被覆状況や不安定プラークの線維性被膜(TCFA)などもわかります。OCTを行うためには血管内から血球を完全に除去する必要があり、造影剤やデキストランをフラッシュしながら観察を行います。
大動脈造影検査(AOG)
大動脈造影検査(aortography;AOG)により、閉塞性動脈硬化症(ASO)や大動脈弁閉鎖不全症(AR)の診断・評価を行います。
心筋生検
心筋生検は、生検鉗子を用いて心筋の一部を採取し、顕微鏡による病理診断を行います。右心室または左心室の心筋を採取し、心筋炎やいわゆる二次性心筋症(拡張型心筋症〈DCM〉、心サルコイドーシス、心アミロイドーシスなど)の診断を行います。
文献
- 1) 山名比呂美:特集 60問トライアル ハートナース検定.ハートナーシング 2016:29(12):40-41.
- 2)循環器用語ハンドブック:僧帽弁閉鎖不全[症].(2020.01.10アクセス)
- 3)日本循環器学会:弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版).(2019.09.01アクセス)
- 4)齋藤滋監修,高橋佐枝子,島袋朋子編:やさしくわかる心臓カテーテル 検査・治療・看護.照林社,東京,2014.
- 5)尾辻豊:心臓弁膜症・心内膜炎.医療情報科学研究所編,病気がみえる vol.2 循環器 第4版,メディックメディア,東京,2017:202-230.
- 6)長沼亨:弁膜症 実地医療で実践すべき診療のプロセス弁膜症 実地医家が知っておくべき現代の弁膜症 経カテーテル僧帽弁逆流症治療MitraClipとは.Medical Practice 2017;34(12):1999-2005.
- 7)高谷陽一,赤木禎治:はやわかり! Amplatzerの実際と必要な看護.ハートナーシング 2015;28(7):710-712.
- 8)日本メドトロニック株式会社:ペースメーカって、何ですか? 2013年12月改訂版.(2019.09.01アクセス)
- 9)吉川糧平,岡村篤徳,南口仁 他:第6章 心臓カテーテル治療.粟田政樹,田中一美編,はじめての心臓カテーテル看護 -カラービジュアルで見てわかる!.メディカ出版,大阪,2013:65-87.
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社