アミロイドーシスとは・・・
アミロイドーシス(あみろいどーしす、amyloidosis)とは、アミロイドが組織に沈着し、臓器の機能障害を引き起こす疾患の総称である。アミロイド(あみろいど、amyloid)とは線維状のタンパク質の一種である。アミロイドの種類や障害される臓器によって特徴は異なるが、大きくは全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシスに分類される。
全身性アミロイドーシス
全身性アミロイドーシスは、血液中にアミロイドの元となるタンパク質が存在し、何らかの機序で不溶性のアミロイドとして、全身のさまざまな臓器に沈着する。アミロイドの元になるタンパク質の産生亢進や排泄低下が主な原因となるが、詳細なメカニズムは不明である。代表的な疾患に、免疫グロブリン性アミロイドーシス、反応性AAアミロイドーシス、透析アミロイドーシス、家族性アミロイドポリニューロパチー、老人性全身性アミロイドーシスなどがある。
限局性アミロイドーシス
限局性アミロイドーシスは、特定の臓器に限局してアミロイドが沈着する。アミロイドが沈着する臓器によって分類され、脳にアミロイドが沈着する脳アミロイドーシスにはアルツハイマー病や脳血管アミロイドアンギオパチーなどの疾患がある。
疾患によってさまざまであるが、アミロイドが心臓に蓄積すると不整脈や心不全などを引き起こし、腎臓に蓄積すると腎不全、神経細胞に蓄積するとしびれや麻痺といった症状を引き起こす。アルツハイマー病では、アミロイドの一種であるアミロイドβというタンパク質が脳に蓄積し、脳の神経細胞が変性したり脱落したりして脳の萎縮が進む。また、脳アミロイドアンギオパチーでは脳出血などの症状が起こる。
アミロイドーシスの確定診断では、組織におけるアミロイドの沈着を病理組織学的に証明する必要がある。アミロイドはコンゴーレッドという色素で染色するとオレンジ色に染まり、偏光顕微鏡で観察すると黄緑色の偏光を呈する。ゆえに、アミロイドーシスが疑われる場合は生体組織診断(生検)によって組織を採取し、病理検査でアミロイドを同定する。アルツハイマー病の場合、アミロイドの沈着を伴う老人斑という特徴的な所見が認められる。