血栓塞栓除去術

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は血栓塞栓除去術について解説します。

 

荒井久美子
新東京病院看護部

 

〈目次〉

 

血栓塞栓除去術はどんな治療?

血栓塞栓除去術は、血栓や塞栓を血管内から除去する手術です。おもに急性動脈閉塞症に対して行われます。代表的な治療法として、急性下肢閉塞に対するフォガティーカテーテルを用いた血栓塞栓除去術があります(図1)。

 

図1フォガティーカテーテルを用いた血栓塞栓除去術

フォガティーカテーテルを用いた血栓塞栓除去術

 

看護師は何に注意する?

術前

症状の悪化に伴う苦痛の緩和に努めます。症状の悪化の徴候を観察するため、動脈拍動の有無の確認(足背動脈・後脛骨動脈のドプラシグナルの有無の確認)を行います。

 

虚血肢の神経は4~6時間、筋肉は6~8時間、皮膚は8~12時間で不可逆的変化を生じるといわれているため、時間の経過を問診し、術後の看護につなげましょう。

 

術後

合併症の早期発見に努めながら、急性閉塞に陥ってから再開通までの時間の経過を把握します。

 

動脈が急に閉塞すると、筋肉や組織は急性虚血に陥り、虚血部位から無酸素代謝産物として乳酸ピルビン酸が産生され、次第に細胞崩壊によってカリウム、ミオグロビン、CPK、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHが細胞外に流出します。そのため、術後は血液ガス分析、血中CPK、ミオグロビン、カリウム、クレアチニンなどを経時的に測定し、尿量ミオグロビン尿を観察します。

 


 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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