高血圧の基準
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は高血圧の基準について解説します。
笹野香織
新東京病院看護部
〈目次〉
成人における高血圧の基準
一般的には140/90mmHg以上を高血圧といいます。高血圧治療が必要となる値です。
表1は診察室血圧※1の基準です。家庭で血圧測定した場合※2は、135/85mmHg以上が高血圧の基準となります※3・※4。
75歳以上の後期高齢者は140/90mmHg以上を高血圧の基準とし、忍容性があれば130/90mmHg未満を降圧目標としています。
高血圧が慢性的に持続すると、さまざまな臓器障害を引き起こします(図1)。
疾患理解のポイント
高血圧症は、それ自体では自覚症状はありませんが、慢性的に持続することで、動脈硬化や左室肥大を進行させ、心疾患や脳卒中などの重篤な疾患を引き起こします。
治療のポイント
高血圧症はまず、生活習慣を見直すことが大切です。
また、処方された薬を欠かさず飲んでもらうことも重要です。
降圧薬にはさまざまな種類があるため、どんな薬がどのような作用で血圧を下げるのか、おさえておきましょう。
看護のポイント
患者さんの生活スタイルを知り、生活習慣の改善やアドヒアランスをよくするための指導を行います。
本態性高血圧と二次性高血圧
高血圧が持続すると、血管障害や左室肥大を起こし、さまざまな臓器障害を引き起こすリスクが高くなります。
高血圧には2種類あり、原因不明の高血圧を本態性高血圧、原因が明らかな高血圧を二次性高血圧といいます(表2)。高血圧の90%以上が本態性高血圧で、二次性高血圧は10%未満です。
- ※1 診察室血圧(上へ戻る↑)
診察室(外来)で血圧計を用いて測定した値。
- ※2 家庭血圧(上へ戻る↑)
朝・晩それぞれの測定値7日間(少なくとも5日間)の平均値。
- ※3 白衣高血圧(上へ戻る↑)
診察室で測定した血圧が高血圧であっても、診察室外血圧では正常域血圧を示す状態。
- ※4 仮面高血圧(上へ戻る↑)
診察室血圧が正常域血圧であっても、診察室外の血圧では高血圧を示す状態。
文献
- 1)安倍紀一郎,森田敏子:関連図で理解する 循環機能学と循環器疾患のしくみ 病態生理,疾患,症状,検査のつながりが見てわかる 第3版.日総研出版,愛知,2010.
- 2)医療情報科学研究所編:薬がみえる vol.1.メディックメディア,東京,2014.
- 3)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:高血圧症治療ガイドライン2019.日本高血圧学会,東京,2019.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 循環器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社