味はどのようにして感じられるの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は味蕾(みらい)について解説します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

味はどのようにして感じられるの?

味を感じるのは、舌の表面に並んでいる味蕾(みらい)という味細胞です(図1)。

 

図1味蕾

味蕾

 

舌の表面には細かなブツブツが一面に並んでおり、乳首のように見えるために乳頭と呼ばれています。味蕾があるのは、この乳頭の周囲です。味蕾は舌に約5,000個、口腔粘膜に約2,500個が分布しています。

 

味蕾は、その名の通りツボミのような形をしています。噛み砕かれて唾液と混ぜられた食物が、味蕾の指状突起という部分に接触すると、その刺激が味蕾の中の味細胞を通して味覚神経細胞に伝わります。

 

味覚情報を伝える神経には2種類あります。舌体からの刺激は舌神経、顔面神経を、舌根からの刺激は舌咽神経、迷走神経を通じて大脳皮質の味覚中枢に送られ、ここでどのような味なのか判断されます。

 

そもそも、味覚は体を守るセンサーです。疲れると甘いものが食べたくなって甘いものをおいしいと感じたり、時として急に肉が食べたくなったりするのは、無意識にそこに含まれている栄養素を欲しているからとも考えられます。反対に、まずいという感覚は、危険信号です。極度な苦味、耐えられないような味のものなどは、毒物や腐敗物など、体にとって有害な物質である危険性があります。おいしい、まずいは、両方とも体を守るための大事な反応なのです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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