味を感じるのは舌のどの部分?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は味覚について解説します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
味を感じるのは舌のどの部分?
舌は、前2/3の舌体(ぜったい)と後ろ1/3の舌根(ぜっこん)に大別されます。鏡で舌を見ると、奥のほうに「へ」の字の形に大きな突起(有郭乳頭<ゆうとうにゅうとう>)が並んでいます。この突起の部分を分界溝(ぶんかいこう)といい、これより前が舌体、後ろが舌根になります。
以前は、舌の先で甘味を、横で酸味を感じるなどといった味覚地図があるといわれていましたが、現在ではその考えは否定されています。味覚は「味蕾」で感じていて、舌のどの部分でもまんべんなく味を感じられる仕組みになっています(図1)。
図1味蕾
舌の表面にある4つの舌乳頭のうち、有郭乳頭では1個あたりに数百~数千個、葉状乳頭では1個あたり数十個~1300個程度、茸状乳頭では1個あたり数個の味蕾があります(糸状乳頭には味蕾はない)。
味蕾の数は、人種、年齢、栄養状態により異なりますが、成人で約7,500個といわれており、味細胞は10~12日という短いサイクルで新しい細胞と入れ替わっています。
※編集部注※
当記事は、2020年2月11日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版