皮膚保護剤貼付部に生じやすい皮膚障害の観察ポイントと対応は?|ストーマ術後ケア
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、皮膚保護剤貼付部に生じやすい皮膚障害の観察ポイントと対応について解説します。
皮膚保護剤貼付部に生じやすい皮膚障害の観察ポイントと対応は?
皮膚障害の部位(範囲),種類,滲出液の有無,出血の有無,疼痛や瘙痒感の有無と程度,発生時期を観察します.面板の皮膚接触面と皮膚障害の位置関係や装具交換間隔も重要な観察ポイントです.
対応策は,装具交換間隔を適切にすることです.また,アレルギー物質の除去,毛囊炎や真菌感染などの感染症を予防することです.
〈目次〉
解説
皮膚保護剤貼付部の皮膚障害の原因は,装具交換時の剝離刺激,皮膚保護剤成分による化学的刺激,アレルギー反応,感染症などです(図1).
1観察ポイント
皮膚障害の部位(範囲)・種類,滲出液の有無,出血の有無,疼痛や瘙痒感の有無と程度,発生時期を観察します.面板の皮膚接触面と皮膚障害の位置関係や装具交換間隔は重要な観察ポイントです.
2対応
剝離刺激を軽減するポイントは,皮膚保護剤の粘着力と交換間隔を適切にすることです.メーカーが推奨している交換間隔を目安に交換します.排泄物に含まれる水分により面板の溶解・膨潤が亢進する場合は,交換間隔を短縮するのではなく耐水性の高い用手形成皮膚保護剤で補正したり,凸面装具に変更し,面板の溶解・膨潤を遅らせたりします.また,はがすときには片手で皮膚を押さえながらゆっくりはがしたり,シャワーで濡らしたり,剝離剤などを使用すると剝離刺激は軽減できます.
皮膚保護剤成分による化学的刺激やアレルギー反応が原因の場合は,他のメーカーの皮膚保護剤へ変更します.皮膚保護剤成分以外にも洗浄剤の香料やウエットティッシュのアルコールなどもアレルゲンとなりやすいので注意が必要です.常に面板が密着していることで皮膚の生理機能が低下し,毛囊炎や真菌感染などの感染症が生じることがあります.術後の免疫力低下や面板の長期間貼付,体毛のシェービングなどが誘因となります.とくに発汗の多い時期は早めに交換し,石けん洗浄の機会を増やしましょう.感染症が疑われる場合は,細菌検査を行い起因菌を同定します.
医師の指示で外用剤を使う場合は,軟膏を塗布すると面板が密着しないのでローションタイプを用いたり,軟膏を塗布し5~10分後に再度石けんで洗浄してから面板を貼付するなどの工夫が必要です.
[引用・参考文献]
[Profile]
清藤友里絵せいどう・ゆりえ
東邦大学医療センター佐倉病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行