ストーマ近接部に生じやすい皮膚障害の観察ポイントと対応は?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ近接部に生じやすい皮膚障害の観察ポイントと対応について解説します。
ストーマ近接部に生じやすい皮膚障害の観察ポイントと対応は?
皮膚障害の部位(範囲),種類,滲出液の有無,出血の有無,疼痛や瘙痒感の有無と程度,発生時期を観察します.さらに面板溶解・膨潤,排泄物のもぐり込み状態,排泄物の性状や量,装具交換間隔も重要な観察ポイントです.
対応策は,排泄物の付着や練状・用手形成皮膚保護剤の化学的刺激,凸面装具による圧迫などの原因を改善することです.
〈目次〉
解説
皮膚障害の予防または治癒を図るためには,原因を追究し改善することが必要不可欠です.ストーマ周囲の皮膚区分に着目し観察することで,原因を絞り込み,対応策を見出す手がかりを導くことができます.
ストーマ近接部の皮膚障害の原因は,排泄物の付着,練状や用手形成皮膚保護剤の化学的刺激,凸面装具による圧迫などがありますが,頻度が高いのは排泄物の付着による皮膚障害です(図1)
図1排泄物付着によるびらん
1観察ポイント
皮膚障害の部位(範囲)・種類,滲出液の有無,出血の有無,疼痛や瘙痒感の有無と程度,発生時期を観察します.皮膚障害は使用装具の適応を評価する指標の1つといわれています.必ず面板の皮膚接触面を観察します.面板溶解・膨潤との関係や排泄物のもぐり込み状態,さらに,排泄物の性状や量,装具交換間隔も重要な観察ポイントです.
皮膚障害の種類は,色調の変化(紅斑,紫斑,色素沈着,色素脱失など),皮膚の欠損(びらん,表皮剝離,潰瘍,瘢痕など),皮膚の隆起(水疱,膿疱,丘疹,膨疹など)があります.
2対応
排泄物の付着を減少させるためのポイントを表1にあげます.
① 面板ストーマ孔サイズを適切にする
② 交換間隔を短縮する
③ 耐久性の高い皮膚保護剤へ変更する
④ 練状や用手形成皮膚保護剤で補正し,溶解・膨潤を遅らせる
⑤ しわやくぼみなどがあり密着しにくい場合は,部分的に用手形成皮膚保護剤で補正したり,凸面装具やストーマベルトなどで皮膚への密着を強化する.
練状・用手形成皮膚保護剤の化学的刺激が原因の場合は,まずこれらを併用することが必要かを再評価し,必要な場合は皮膚に対し低刺激性の種類へ変更します.代わりに凸面装具へ変更することも1つの方法です.しかし,凸面装具の圧迫そのものが皮膚障害の原因となることがあります.メーカーにより,凸面の深さ(3mm,5mm,6mmなど)や凸部の幅や形状は異なります.その特徴を知り,圧迫しすぎないよう留意して装具を選択しましょう.
[引用・参考文献]
[Profile]
清藤友里絵せいどう・ゆりえ
東邦大学医療センター佐倉病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行