ストーマ装具のパッチテストは必要ないの?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ装具のパッチテストについて解説します。

 

パッチテストは必要ないの?

 

術前にストーマ装具によるアレルギー反応を予見する目的で,以前より,使用が予測される皮膚保護剤の切片を数種類,皮膚に貼付し,その反応を判定することが行われていました.

 

解説

通常,パッチテストとは,アレルギー性接触皮膚炎の原因を特定するための手段として行われます.以前は,術前に使用が予測される皮膚保護剤の切片を数種類,皮膚に貼付し,その反応を判定することが行われていました.

 

パッチテストの結果が陰性であったからといって,術後に皮膚炎が生じないということはないため,最近では,ルーティンで実施されなくなっています.

 

表1に示すように1回の接触でも皮膚炎が発症することや,ストーマ装具の多くは,さまざまな物質が複合してできているため,アレルゲンの特定は,現実的に困難です(図1).

 

表1接触皮膚炎の分類と症状

接触皮膚炎の分類と症状

 

図1尿管皮膚瘻周囲の接触皮膚炎

尿管皮膚瘻周囲の接触皮膚炎

 

ただし,アレルギー性皮膚疾患など皮膚障害のリスクの高い患者に対しては,術前に装具の粘着性や追従性を選択する目安として「チャレンジテスト」(表2)として行う場合もあります.

 

表2チャレンジテストの方法

チャレンジテストの方法

 

術後に,重篤な皮膚障害が生じた場合は,皮膚科医による検査や診断を受けることが望ましいといえます.

 


[引用・参考文献]

 

  • 1)診療点数早見表2012年4 月版.医学通信社,2012,597─8.
  • 2)小島操子.看護における危機理論・危機介入.金芳堂,2004,26─33.
  • 3)大井綱朗.皮膚科疾患.中川秀己編.中山書店,2001,42─7,(看護のための最新医学講座,19).
  • 4)西出薫ほか.“ストーマケア技術の文献的考察とエキスパートオピニオン”.ストーマケア エキスパートの実践と技術.日本ET/WOC協会編.照林社,2007,44─6.

 


[Profile]
大溝 茂実 おおみぞ・しげみ
川崎市立井田病院看護部教育研修担当師長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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