貼用中の患者の状態や皮膚の状態を観察するのはなぜ?|冷罨法
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は氷枕を貼用中の患者の観察に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
貼用中の患者の状態や皮膚の状態を観察するのはなぜ?
氷枕を貼用中に患者の状態を観察するのは、血液循環や末梢神経の働きが低下することによって様々な症状が出現する可能性があるからです。
知覚麻痺が生じていないか、皮膚に紅斑や青紫色の変化が生じていないかなどを、患者の表情や皮膚の色から判断する必要があります。
また、氷枕そのもののチェックも必要です。患者にとって安定感はあるか、水が少ないために氷がゴロゴロしていないか、氷が溶けて温度が上がりすぎていないかなどを確認します。
memoCMC 製品の利点、欠点
CMC製品(線維素グリコール酸ナトリウム)には、アイスノン、エバーアイスなどの商品があります。氷枕、氷嚢、氷頚などの代用品として用いられることもあり、冷罨法を施す必要が生じた時、あらかじめ冷凍庫で冷却しておけば取り出すだけですぐに使えるという手軽さが利点です。一方で、頭部や頚部への密着感がなく、硬くて痛いという欠点もあります。また、年月が経つと中の水分が蒸発し、保冷時間が短くなります。
解熱に効果的な貼用部位
発熱時に頭部に氷枕や氷嚢を貼用すると、頭痛や熱感など、発熱に伴う随伴(ずいはん)症状を緩和させることができます。
しかし、これは一時的に知覚神経を刺激しているだけなので、解熱効果は期待できません。解熱を目的とする場合は、頚動脈、腋窩動脈、大腿動脈といった太い血管の部位を、氷嚢やCMC製品などを使って冷却する必要があります。
ただし、これらの部位の冷却は治療法であるため、必ず医師の指示を受け、循環障害の危険を予防するために十分に観察を行わなければなりません。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版