座位や立位になった時に脈拍や呼吸を観察するのはなぜ?|車いすへの移乗
【大好評】看護roo!オンラインセミナー
『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は車いす移乗の際の患者の脈拍や呼吸に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
座位や立位になった時に脈拍や呼吸を観察するのはなぜ?
臥位から座位、座位から立位へと体位が変わると、一過性に血圧が下降し、心拍や脈拍が上昇して起立性低血圧による脳の血流量の減少のためにめまいや冷や汗などが起こりやすくなります。体位が変わるたびに患者の脈拍や呼吸を観察し、顔色や表情を見ながら気分不快がないかどうかチェックするのは、こうした循環動態の変化が及ぼす影響を確認するためです。
めまいや脳貧血に気づかないまま作業を進めると、患者の足もとがふらついたり、患者の全体重が看護師に突然かかったりして危険です。
memo半側(はんそく)空間無視
高次脳機能障害の1つ。空間の片側(多くは左側)を見落とす障害です。
車いすの左ブレーキや左フットレストが認識できなかったり、左側にある障害物に気がつかないことがあります。移動や歩行中に、次第に右側に寄っていくという行動も現れます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版