体位変換を行うのはなぜ?|体位変換

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は体位変換に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

体位変換を行うのはなぜ?

体位変換は、同じ体位で臥床していることで出現する苦痛や影響を軽減するために行います。

 

健康な人間は一晩で20~30回の寝返りを打つとされています。寝返りを打つことで、無意識に体にかかる圧力を分散しているのです。

 

これに対して身体可動性障害などによって自力で寝返りを打つことができない患者は、長時間同じ体位で過ごさざるをえません。そのため、部分的に不必要な圧迫がかかり、骨の突出部などに褥瘡ができやすくなります。

 

体位変換は、こうした患者を対象に圧力を分散するために行うケアです。

 

定期的に体位を変換することで、褥瘡の予防だけでなく関節の拘縮(こうしゅく)や筋力の低下、末梢血の循環不全、沈下(ちんか)性の肺炎皮膚表面の免疫力の低下などの予防にもつながります。

 

memo廃用症候群

長期間にわたり、体や精神を使用しないことによる機能低下を廃用症候群といいます。

 

安静に臥床することによってもたらされる弊害です。

 

①局所性廃用症候群、②全身性廃用症候群、③精神神経性廃用症候群などの諸症状が複合して、総合的な体力低下をもたらします。

 

memo拘縮

拘縮とは、関節包や靭帯(じんたい)の弾性が失われ、筋肉周囲の筋膜や筋肉の結合組織が収縮することにより、関節の運動が制限される状態のことです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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