男性は腹式、女性は胸式呼吸が多いのはなぜ?

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は男女の呼吸法に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

男性は腹式、女性は胸式呼吸が多いのはなぜ?

一般に、女性は腹筋群の発達が男性と比べて悪く、体を締めつける衣服の着用が多いことが、男性と女性の呼吸法の違いを生んだと考えられます。

 

呼吸の型には、腹式呼吸と胸式呼吸があります。腹式呼吸は横隔膜を上下させることによって、胸式呼吸は肋間筋の働きで胸郭を広げることによって、呼吸運動を行います。普通は、この2つを組み合わせた胸腹式呼吸を行っていますが、腹筋群が発達している男性は腹式呼吸の傾向が強くなりがちです。

 

ちなみに、新生児や乳児も腹式呼吸を行いますが、これは肋骨の走行が水平に近く、呼吸に関する筋肉が発達していないので横隔膜の働きだけで呼吸をしているためです。

 

一方、女性は腹筋群や衣服の関係で、横隔膜の上下運動をしなければならない腹式呼吸が行いにくくなり、胸式呼吸の傾向が強くなります。また、妊娠時に胎児の成長で横隔膜が圧迫されると腹式呼吸が難しくなり、胸式呼吸に傾くようになります。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ