激しい運動などで、呼吸が速く深くなるのはなぜ?
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は運動と呼吸に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
激しい運動などで、呼吸が速く深くなるのはなぜ?
運動をすることで体温が上昇し、血液中の酸素濃度が低下して呼吸中枢の興奮が起きるためです。筋運動によって筋や関節からの神経反射が起きることも、呼吸の速度や深さに関係してきます。
一般に、安静時には1分間に約300mLの酸素を消費しますが、運動時に必要とする酸素量は10倍以上になります。運動初期は呼吸中枢が刺激されないため、他の組織から動員された酸素で補いますが、筋運動が強くなると酸素消費量が増加し、酸素が不足して血液中の酸素濃度が低下してきます。また、筋肉中の乳酸が分解されることで血液のpHが増加し、間接的に呼吸中枢を刺激します。
さらに、これに加えて、筋や関節からの神経反射、体温上昇による呼気からの熱放散の上昇なども、呼吸数を増加させる因子になります。こうした様々な呼吸中枢刺激によって、呼吸数が増加し、呼吸の深さも増大します。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版