一般に橈骨動脈で測定することが多いのはなぜ?|脈拍測定

 

『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。

今回は橈骨動脈に関するQ&Aです。

 

大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授

 

一般に橈骨動脈で測定することが多いのはなぜ?

橈骨(とうこつ)動脈は皮膚に近い部分にあり、脈拍が弱い場合でも体表から拍動に触れやすいためです。

 

手関節の側(母指に近い部分)は皮下脂肪が薄く、血管も皮下組織の浅い部分にあります。また、総頚動脈、上腕動脈に次いで心臓に近い位置にあり、心臓より遠いほかの部位の動脈より脈拍が触れやすいことも、第一選択の理由の1つです。

 

脈拍を触れることができる血管は、橈骨動脈のほか、頚動脈、上腕動脈、大腿動脈、膝窩(しっか)動脈、後脛骨動脈、足背(そくはい)動脈などがあります(図1)。しかし、これらの血管のほとんどは、触れる部位と触れ方に個人差があります。特に足背動脈では、約10%の人は脈拍が触れません。

 

橈骨動脈は走行部位の個人差が比較的少なく、正常な状態で橈骨動脈の脈拍が触れないことはほとんどありません。

 

また、わざわざ衣服を脱がなくても測定できるため、緊急時にも即座に脈拍の測定を行うことができます。

 

 

MEMO脈拍の正常値

脈拍は年齢によって変化します。安静時の健康な成人は70~80回/分ですが、新生児では120~140回/分にもなります。高齢になると60回/分くらいの人もみられます。

 

※編集部注※

当記事は、2019年3月23日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版

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