人工気道による合併症、どう予防する?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「人工気道による合併症」に関するQ&Aです。
塚原大輔
日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程特定行為研修担当教員
人工気道による合併症、どう予防する?
適切なカフ圧管理や加温・加湿、チューブ管理を行うこと、患者の状態変化を見逃さないことが大切です。
人工気道による合併症とその予防
人工気道を挿入する際の操作、気管チューブやカフによる長期間の気道の圧迫・刺激が原因となり、喉頭浮腫や声門浮腫、気道粘膜の損傷が生じる。
これらは、人工気道抜去後の気道狭窄・閉塞の原因となるため、適切なカフ圧管理を行う必要がある。
自然呼吸の場合には、空気が上気道(鼻腔、咽頭、喉頭などの気道)を通過する際に気道粘膜において加温加湿されている。
しかし、人工呼吸では人工気道が挿入されるため、上気道がバイパスされ、生理的な加温加湿機能が損なわれ、気道からの水分の喪失や、それに伴う気道の脱水、気管(気管支)における上皮組織の損傷をもたらし、コンプライアンスの低下や界面活性物質の活性低下など肺機能の低下を招き、気道分泌物の乾燥、無気肺、低酸素血症が引き起こされる。
そのため、人工呼吸管理中は、加温加湿器や人工鼻など加温・加湿システムを併用する必要がある。
人工気道自体の狭窄・閉塞は、チューブの屈曲や患者によるチューブの咬合、気道分泌物の付着などにより生じる。気道狭窄は、異常な気道内圧上昇と低換気アラーム、呼吸音の異常、バイタルサインの変化などにより発見される。
患者が咬合している場合には、バイトブロックを使用するか、苦痛が強い場合には鎮痛薬を検討する。
気道分泌物は、気管吸引により除去するか、吸引困難であれば気管チューブの交換も必要となる。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社