コンプライアンスとは・・・
コンプライアンス(こんぷらいあんす、compliance)とは、肺の膨らみやすさを表す指標である。肺コンプライアンスとも呼ばれる。人は横隔膜や肋間筋などを連動して動かすことで、胸腔内の圧力を上下させ、肺に空気を取り込んで膨らませたり、縮ませたりしている。1回の換気量を得るためにどれだけ圧力を変化させる必要があるか、これがコンプライアンスである。単位はmL/cmH2Oで、例えば「コンプライアンスが60mL/cmH2O」であれば「1cmH2Oの圧で肺が60mL膨らむことができる」と解釈できる。
コンプライアンスに影響を与えるものとして、肺を構成する弾性線維による「縮もうとする力」と、肺胞表面に存在するサーファクタント(表面活性物質)による「縮むのを阻む力」がある。これらに影響を与えるような病態があるときにコンプライアンスは低下したり、上昇したりする。
コンプライアンスが低下する状態(肺が膨らみにくくなる)
肺の線維化が亢進することで肺が硬くなり膨らみにくくなる。この病態に代表されるものとして、特発性肺線維症や間質性肺炎などがある。また、肺のサーファクタントの機能が障害されて肺が縮みやすくなり、肺が膨らみにくくなるものとして、肺水腫、肺炎、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)などがある。
コンプライアンスが上昇する状態(肺が膨らみやすくなる)
肺胞構造が破壊されるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)では弾性線維による縮もうとする力が弱くなり、肺は膨らみやすくなる。しかし、一方で肺が縮みにくくなるのでCOPDの患者は息を吐くことが難しくなる。