気管挿管が困難な症例には、どう対応する?
『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「気管挿管が困難な症例」に関するQ&Aです。
露木菜緒
一般社団法人Critical Care Research Institute(CCRI)
気管挿管が困難な症例には、どう対応する?
挿管困難症例には、頸椎損傷や頸椎手術の患者、首が短い/首が太い患者などが該当します。挿管困難な場合は、エアウェイスコープなど補助物品を使用します。
〈目次〉
気管挿管が困難な症例とは
挿管困難とは、トレーニングを積んでいる麻酔科医が、マスク換気困難、喉頭展開困難であると判断した状態であり、失敗した回数に規定されるものではない。
挿管困難患者の特徴を表1に示す。
挿管困難時に用いる補助物品
1エアウェイスコープ(図1)
エアウェイスコープは、モニター画面で声門を確認しながら気管チューブを挿入できる器具である。
喉頭鏡より少ない喉頭伸展で気管挿管が可能であること、操作が簡単で習得しやすいこと、気管支ファイバースコープよりも画像が見やすく鮮明であることなどが利点である。
ただし、ブレードが厚いため、開口制限のある患者には用いにくい。また、口腔出血があると視野が不鮮明となる。
2気管支ファイバースコープ
気管支ファイバースコープは、声門を確認しながら挿入できる器具である。
開口困難時に経鼻挿管が可能であり、意識下挿管でも使用できる。また、操作時にすぐ吸引ができ、歯牙欠損などのリスクも少ないことが利点である。
デメリットとしては、手技が難しい、くもりに弱く分泌物などによって視野不良になりやすい点などが挙げられる。
3マッコイ喉頭鏡
ブレードの先端部が屈曲できるようになっており、喉頭蓋を挙上できる器具である。
[文献]
- (1)薊隆文,勝屋弘忠:気管挿管法.外科治療2006;94:361-372.
- (2)天谷文昌,松田愛:気管挿管の手技と注意点.The Lung Perspectives2012;20:27-30.
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社