胎盤の構造はどうなっているの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は胎盤に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
胎盤の構造はどうなっているの?
胎児に酸素や栄養素を与えるベースである胎盤は、妊娠の経過とともに発達し、分娩期には直径20cm、厚さ2〜3cm、重さ500gの円盤状になります。胎盤は母体の組織に由来する基底脱落膜と、胎児の組織である絨毛が一緒になって構成されており、円盤状の基底脱落膜のなかに絨毛(じゅうもう)が納まっているような形をしています。
基底脱落膜(図1)と絨毛の間の空間(絨毛間腔)には絨毛が多数突出しており、そこを酸素と栄養素に富んだ母体血(ぼたいけつ)が満たしていきます。絨毛には胎児循環と連絡する毛細血管が含まれ、毛細血管と母体血の間は薄い壁で隔てられています。
この薄い壁は胎盤関門(たいばんかんもん)と呼ばれ、水や酸素、二酸化炭素、アミノ酸、グルコース、無機塩などの低分子物質、ホルモン、免疫グロブリンのIgGなどは通過することができますが、母体のタンパク質やウイルス、細菌は通過できない仕組みになっています。これは、胎児を守る重要な仕組みになります。
しかし、アルコールはこの壁を通過することができます。妊娠中にアルコールを飲むと、胎児にまでアルコールが吸収されてしまうので、注意が必要です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版