術前の説明は医師任せでいい? 看護師はどのようにかかわる?
『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は「術前説明」に関するQ&Aです。
竹岡由美子
大阪市立総合医療センター看護部副部長
編著 西口幸雄
大阪市立十三市民病院病院長
術前の説明は医師任せでいい?看護師はどのようにかかわる?
医師任せではなく、看護師による精神的サポートが大切です。
看護師はできるだけ術前の説明に同席を
消化器疾患における手術を例に挙げると、緊急の場合を除き術前の説明はおおむね外来で行われ、患者は状況を納得したうえで入院してきます。
しかし、告知が与える影響は大きく、将来に対する不安や恐怖を抱えながら入院するため、なかなか現実を受け入れられず、手術の説明を受けても内科的治療や放射線治療のほうがいいのではないかと迷う人も少なくありません。
そのため、医師による手術前の説明の際は、患者・家族の表情の変化や発言(発現)に注意する必要があり、説明後の精神的サポートは看護師の大きな役割でもあります(表1、図1)。
- 入院して間もないため人間関係が浅く、良好なコミュニケーションをとる必要がある。
- 看護師が同席して問題ないかを患者・家族に確認する。
- 医師、患者・家族が都合のよい時間帯を確認する。
- 患者・家族が聞きたいと思っている情報が十分に伝わっているか、質問内容や表情で確認し、患者自身の権利が守られるように配慮する(アドボカシー)。
- 同意書に迷いながらサインをしていないかを確認する。インフォームドコンセントは、患者が十分に理解したうえで意思決定するように支援するプロセスである。
医師が疾患の診断や治療内容などを患者に説明することをムンテラといいます。文字どおりMund(口)でTherapie(治療する)という意味で、医師と患者の良好な関係を築くためには不可欠なものです。ムンテラはドイツ語であるため、今日ではインフォームドコンセント(IC)といわれることが多くなりました。
- 患者が説明内容を理解できているか判断する
- 理解できていなければ、医師とのパイプ役となり、わかりやすく言い換える
- 術後の処置などを具体的に説明する
- ショックを受けたり精神的に落ち込んでいれば、サポートする
キーパーソンは誰か、医師に対して不満はないか、表情が暗い、無言、視線が下を向いているなど、迷いや不安の表情を見逃さないようにしましょう。
本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『術前・術後ケアのこれって正しい?Q&A100』 (編著)西口幸雄/2014年5月刊行/ 株式会社照林社