なぜ脂肪は血液に吸収されないの?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

[前回]

小腸は消化と吸収のどちらを行っているの?

 

今回は「脂肪の吸収」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

なぜ脂肪は血液に吸収されないの?

小腸では栄養素の吸収が行われます。

 

糖質タンパク質の分解物は小腸で毛細血管に吸収されますが、中性脂肪の分解物は、血管ではなく毛細リンパ管に吸収されます。これはなぜなのでしょう。

 

遊離脂肪酸は水には溶けません。遊離脂肪酸を水の中に入れると油滴になり、それらが互いにくっついて次第に大きな油滴になります。

 

もし、血液中に遊離脂肪酸を入れたとしたら、同じ事が起こり、毛細血管が詰まってしまいます。そうならないように、生体はうまくできているのです。

 

十二指腸で、胆汁とリパーゼによって分解されてできたモノグリセリドと遊離脂肪酸は、小腸絨毛上皮細胞内に取り込まれると、そのなかでジグリセリドトリグリセリド(中性脂肪)に再合成されます。

 

同時に、これらの再合成脂肪はアポタンパク質という特別なタンパク質に包み込まれます。これをカイロミクロンといいます。

 

このカイロミクロンは毛細リンパ管に送られ、さらにリンパ管、胸管を経て上大静脈に送られます。

 

※編集部注※

当記事は、2016年10月3日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。

 

[次回]

小腸はどのようにして内容物を運ぶの?

 

⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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