唾液はどんな刺激で出るの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
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今回は「唾液の分泌」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
唾液はどんな刺激で出るの?
唾液は唾液腺(耳下腺<じかせん>、顎下腺<がくかせん>、舌下腺<ぜっかせん>)から1日1.0~1.5L分泌されています。唾液の分泌は自律神経系に支配されています。
副交感神経が刺激されると唾液が分泌され、交感神経が刺激されると分泌が抑制されますが、実際には、この2つの神経のどちらが刺激を受けても、唾液が分泌されます。
副交感神経の刺激によって分泌される唾液は、血管が拡張するために水分が多くなります。交感神経の刺激によって分泌される唾液は、血管が収縮するため、水分が少なくなって粘度が増します。そのため、副交感神経が優位のときに唾液の分泌が促されたように感じるのです。このように刺激される神経によって唾液の量や組成が異なってきます。
食物が口に入って舌や口腔粘膜に触れると、その刺激が唾液分泌中枢に伝わります。これによって唾液分泌反射が起こり、唾液腺の分泌が促されます。
それでは、酸っぱい食べ物を見たり、おいしい匂いをかいだり、調理している音を聞くだけで唾液が出てくるのはなぜでしょう。これは、大脳皮質に残っている記憶が引き起こす条件反射です。大脳からの刺激が脳幹の唾液中枢を刺激し、唾液が分泌されます。
※編集部注※
当記事は、2016年8月11日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版