膵臓と脾臓のエコー像
画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、ナースが目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
[前回の内容]
今回は、「膵臓と脾臓のエコー像」についてのお話です。
加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)
正常な肝臓と胆囊のエコー像の特徴は理解いただけましたか?
なんとなくですが、雰囲気はわかりました。
胆囊は教科書でみたことがある臓器の形のままですね。
エコー検査は臓器をそのまま映し出していますからね。
今回は、膵臓と脾臓かぁ・・・あまり馴染みがない臓器だからイメージがつきにくいです。
画像は慣れることが大切ですので、まずはどんな画像がみえるのかを覚えてください。
それでは、正常な膵臓と脾臓の代表的な画像を紹介します。
〈目次〉
膵臓
膵臓は、胃の背側にあるため、腹部エコーでの描出が難しい臓器です(図1)。
図1膵臓の位置
膵臓のエコー像
ここで、膵臓の代表的なエコー像とシェーマ像をそれぞれ2点ずつ紹介します(図2、図3)。
図2膵臓のエコー像とシェーマ像(1)
図3膵臓のエコー像とシェーマ像(2)
膵臓にエコーを当てる際は、膵臓の下を走っている脾静脈を目印に描出します。しかし、膵臓は胃の背側に位置しているため、胃の中に空気や食物が入っている状態では、エコーによる描出が難しくなります。
また、描出可能な膵臓は、頭部と体部の一部です。膵臓の尾部が描出できることはほとんどありません。
脾臓
脾臓は、腹部エコーで描出可能な臓器です(図4)。
図4脾臓の位置
脾臓のエコー像
ここで、脾臓の代表的なエコー像とシェーマ像を紹介します(図5)。
図5脾臓のエコー像とシェーマ像
肝硬変の患者さんや、門脈圧が亢進している患者さんでは、脾臓が腫大することがあり、エコーで定量することができます。
Check Point
- 膵臓は、一般的にエコーで描出することが難しく、膵臓尾部の描出はほぼ不可能です。
- 脾臓のエコー検査は、肝硬変や門脈亢進症の患者さんの検査を行う際に有用です。
[次回]
- 病棟や外来で使用するエコー機器
- エコーの性質と特徴
- 肝臓と胆囊のエコー像
- エコー検査の準備と片付け
- ⇒『初めてのエコー(超音波)検査』の【総目次】を見る
[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科
Illustration:田中博志